節分怪談!光る豆


データ

脚本は石森史郎。
監督は筧正典。

ストーリー

北斗が節分の豆を持って孤児院「敬愛園」を訪れると、空手家の青年一郎が子供達の前で瓦割を披露していた。
子供達に豆まきをしようと言う北斗。
その時突如空に雷鳴がとどろき、豆まきの豆にも異変が起きる。
豆まきを終えた北斗と一郎は子供達と一緒に豆を歳の数だけ拾って食べていた。
すると一郎は豆の中に赤い豆が混じっているのに気づく。
それを拾って食べる一郎。
しかしそれを食べた一郎は力が入らなくなってしまう。
その時また雷鳴が轟いた。
一郎は子供達にせがまれて板割を披露すべく、北斗の持つ板を突くが逆に手を傷めてしまう。
不思議がる北斗。
その頃TAC基地では新兵器ゴールデンホークの完成に大いに盛り上がっていた。
そして節分の豆まきをするべく皆で北斗の帰りを待っていた。
北斗が豆を持って戻ってくると、自慢の怪力でゴールデンホークを片付ける今野。
今野は美川にその豆をぶつけると、早々に豆を食べ始める。
赤い豆を喜んで食べる今野。
一方北斗も赤い豆を食べてしまう。
その時、超獣出現を告げるサイレンが鳴りTACは出動。
しかし赤い豆を食べ力が出ない今野。
自分のヘルメットすら持ち上げられず、美川に不審がられる。
鬼の姿をした超獣を空から攻撃するTAC。
しかし今野は隊長の発射の合図にもミサイルを撃つことが出来ない。
一方北斗も山中とスペースに乗っていたが、突如力が入らなくなり操縦不能に陥ってしまう。
超獣にぶつかる寸前脱出する2人。
北斗は空中でエースに変身する。
しかし変身したエースも力が入らず超獣に叩きのめされてしまう。
エースは敗北を認め腕をクロスし自ら姿を消した。
雷とともに消える超獣。
基地に戻った北斗、今野は力が入らなくなったことを報告。
竜は2人に病院へ行くよう命じる。
医者に診てもらったところによると、筋肉が弾力を失って細胞が死んでしまったようだという。
「僕らが健康だと言って隊に戻して下さい」と頼む北斗。
そこにまた別の患者が医者の下にやってきた。
それは北斗と同じように力が入らなくなった一郎であった。
一郎は空手の全国大会に間に合わせてくれるよう医者に頼む。
医者に無理だと言われて落ち込む一郎と屋上に出た北斗は「原因も治療法もわからないなら自分でトレーニングして治すしかない」と言い、一郎と一緒に鉄パイプを持ち上げようとする。
しかしそれすら上手く行かない。
それから1週間後。
TACの隊員はみんなで北斗、今野の見舞いにやってきた。
屋上でトレーニングする3人を見て「無理をするな」と隊長。
しかしその日以降も3人はトレーニングを止めなかった。
だが一向に良くなる兆しはない。
大会までに間に合わないと弱音を吐く一郎。
その夜北斗はエースが敗北する夢を見てうなされる。
その時どこからか呼びかける声がした。
ウルトラセブンが光の国から呼びかけているのだった。
「エースよ、弟よ。その病気を治すにはウルトラカプセルが必要だ。M78星雲に戻って来い」。
北斗から分離して赤い光になって星に戻るエース。
エースはウルトラの国につくと、セブンにビームランプを浴びせられ回転を始める。
翌朝北斗が目覚めると、腕に力が戻っていた。
そして北斗のベッドには赤い豆が。
本部へ連絡し隊に戻る北斗。
一郎にも原因がわかったと報告に行く。
試合まで1週間しかないと言う一郎に、「どんなに苦しくてもトレーニングを続けろ」と北斗。
その時また例の超獣が出現した。
黒い雲が広がり真っ暗になる街。
スペースで攻撃を仕掛けるTAC。
北斗はパンサーで超獣と対峙するが、パンサーごと超獣に踏み潰されてしまう。
その時光に包まれエース登場。
エースはキックでオニデビルの角を折ると、TACもゴールデンホークでエースを援護。
エースが投げ飛ばすと、超獣は息絶えた。
雲は晴れ、エースは目からビームを出し今野と一郎に浴びせる。
すると2人の体からは豆が取り出され2人は力を取り戻した。
北斗、今野は2人で孤児院を訪れる。
そこには大会を控え元気な一郎の姿があった。
今野も岩を持ち上げ、得意の怪力を子供達に披露。
「全国大会では頑張れよ」。
一郎を励ます北斗であった。

解説(建前)

オニデビルは黒雲と一緒に現れたり、雷とともに姿を消したりこれぞ超獣という神出鬼没振りを発揮している。
節分というタイミングの良さといい、これは素直にヤプール残党による仕業と考えるべきであろう。
ヤプールが以前に作っていた野良超獣や、破片により生まれた超獣という可能性もあるが、この後ヤプール残党の動きが活発化することからもその第一弾と考えるのが素直である。
山中の言うとおり「怨念の化け物」なのであろう。

赤い豆は誰を狙ったのか。
これはTAC及び北斗を狙ったと考えて問題あるまい。
まず孤児院で北斗に赤い豆を食べさせるべく、雷からエネルギーを送り赤い豆を混入させる。
これが失敗に終わるともう一度雷を鳴らして北斗が持ち帰る分に赤い豆を混入させる。
結果北斗、今野に豆を食べさせることに成功し、2人の筋力を無力化した。
豆が2粒なのはあまり多すぎるとばれるおそれがあるからであろう。
北斗が食べるには偶然の要素が大きいので、ピンポイントで北斗を狙ったわけではなさそうだ。

エースがウルトラの国に帰って豆を除去してもらったはずなのに、北斗のベッドに豆が転がってたのは何故か。
これはエースは豆を人間の体から除去する能力をウルトラカプセルから会得したと考えれば辻褄が合う。
エース自体に豆は入ってないと思われるので、エースは地球に戻ってきてまず北斗の体から豆を除去。
そして最後に2人に光線を当て、2人の豆も除去したものと考えられる。
つまりエースは北斗と一時分離してウルトラの国に戻った。
その間北斗は死んでいたことになるが、戻ってすぐ治療し再合体したものと思われる。
エースが力が出なかったのはエースが北斗と同化しているためであり、エース自体は力を出せる状態にあったというのが私の推論である。
豆は人間の消化器官で消化されず体のどこかに留まるのであろう。

感想(本音)

あまり話題にはならないが、この話は結構お気に入りである。
内容は初期のヤプール編に近い。
実際ヤプール残党の作戦としか思えないので、そう感じるのも至極尤もである。
今回の脚本は37話も担当した石森史郎氏。
前回はややドラマに偏ってしまった嫌いがあるが、今回は如何にもウルトラシリーズな話で前回より出来はいいと思う。
2回目にして慣れてきたか。

今回は久々の今野主役話。
すっかりコメディリリーフな今野だが、ロケット工学はどうしたのだろうか。
「頭はちょっとあれですが、力はね」というセリフは設定からするとあまりにも悲しい。
食いしん坊で力持ちという見たままのキャラに成り下がってしまったのか。
しかし今回の話は今野のキャラあってである。
北斗だけ無力になるよりインパクトは大きいし、話も何となく明るくなる。
そういう意味では今回は今野大活躍といえるであろう。
そしてファンとしては何よりも美川隊員に豆を思いっきりぶつけた点を評価したい(なんじゃそりゃ)。
しかし岩を持ち上げるのはちょっと凄すぎだぞ。

自分でトレーニングして治すしかないという北斗。
しかしもちろん治らない。
物事根性だけでは何ともならないんですね。
こういう病気は精神力は関係ないので。
まあそもそも病気ではないんですが。

思いっきりオニデビルに踏み潰される北斗。
いくらエースだからって油断しすぎ。
もっと命を大事にしろよ。
今回TACの新兵器ゴールデンホークが活躍しました。
シルバーシャークに続いてゴールデンですから一見グレードアップしたように見えるのですが、シルバーシャークほどの威力はありませんでしたね。
燃費がいいとか違いがあるのでしょうか。
しかしTACほど新兵器を作る防衛隊はないんじゃないでしょうか。
それなりに使えますし、さすがマリア2号を作った天才梶がいるだけはありますね。
TACの研究所はシリーズ随一でしょう。

北斗が操縦桿を動かせなくなるシーンで嫌な予感がしたらやっぱり隣は山中だった。
全国の子供達の悲鳴が聞こえるようだ(北斗〜。横、横!)。
しかし2人の脱出の素早いこと。
この辺り普段の実戦の成果か?
しかし北斗が案外責められなかったのは今野も同罪だったからか。
北斗だけだったらさぞ凄いことになったであろう。

今回はシリーズ初めて光の国が登場。
何てことはありませんが、よりウルトラ兄弟が身近になりました。
神秘性が無くなったと言えなくも無いですが、あの星は謎めいていてまだまだ神秘は失われてない気がします。
その辺り各自の感覚によりますが。
今回変身は「ウルトラターッチ」。
指輪を使うときは一応これが基本のようです。
孤児院の先生は御存知中田喜子。
若くて綺麗です。
もう少し出番を増やしてもらいたかった。

今回からダンが退場しエースも終盤に入るわけですが、その第一弾としてまずまずの話だったと思います。
これからは石堂氏と市川氏のみの脚本。
中でも石堂氏は8本中6本とメインライター並に書いてます。
市川氏とどちらがメインかわからないほど。
しかしそれなりのクオリティは保っており、プロデューサーも結局石堂頼りにならざるをえなかったのでは。
田口氏がタロウに取られてましたから。
市川氏は助っ人気分で一本書いたそうですが、ちょっとそれは無責任てもんじゃないでしょうか。
まあその一本が無茶苦茶面白いので許しますが。


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