この超獣10,000ホーン?


データ

脚本は長坂秀佳。
監督は筧正典。

ストーリー

全国のあちらこちらで超獣が出現して一瞬にして消えるという事件が多発した。
TACは初めて超獣の反応を捉え、K地区に向かう。
しかしそこには超獣の姿はなく、代わりに毎夜その辺りを走り回る暴走族がいた。
止める北斗に「俺達とやろうてのか」と絡む暴走族のリーダーシュンペイ。
「TACは人間相手には何も出来ない」と言い捨てる。
別の日。
北斗はパトロール中に暴走族に絡まれるダンと香代子を目撃する。
橋から飛び降りて暴走族に注意する北斗。
暴走族はひとまず引き上げる。
「暴走族は超獣以上に許せない」と言う美川に「あいつら寂しいんだよ」と北斗。
北斗は「俺にもあんな風になりかけた時期があった」と言う。
北斗が町でパトロールしてると、例の暴走族を見かける。
暴走族の1人は「TACは子供達にチヤホヤされていい気になっている」と言う。
それを聞いた北斗は「子供に好かれたいならそのマフラーをやめることだ」と言う。
シュンペイたちは素直に聞く振りをしたが、香代子を見かけると香代子をバイクで追いかけ回した。
それを見ていた北斗はパンサーで暴走族を原っぱまで追いかけ、暴走族に掴みかかる。
逆に暴走族に捕まり殴られる北斗だが、それを振り払い暴走族を投げ飛ばす。
基地に帰った北斗は暴走族と喧嘩したことを「ぶったるんどる」と山中に一喝される。
竜も「工場地帯に出た超獣は幸いすぐ消えたが近くに幼稚園があり、あのまま暴れられたら大惨事になっていた。これからは軽はずみな行動は慎むように」と北斗を戒める。
その頃また例の暴走族の近くに超獣が出た。
目撃者の証言によると、超獣が出るときはいつもバイクの騒音がしており、北斗は「暴走族と超獣の出現に何か関係があるのでは」と言う。
しかし竜は工場にも超獣が出たことを指摘し、北斗に「これ以上暴走族に関わることは許さん」と言う。
しかし独断で暴走族をマークする北斗。
暴走族に煙たがられるが、「TACの隊員として君たちを守る義務がある」と言う。
「万が一と言うこともあるしついて来てもらった方が」と言うマチコに対し、シュンペイは「俺達が誰かに親切にしてもらったことがあるか。どうせ俺達は嫌われ者だ」と幼稚園児にバイクで襲いかかる。
「子供達には手を出すな」と北斗。
そこにまた超獣が出現。
必死に子供を助ける北斗に打たれ北斗を助けに行くマチコ。
超獣はまたも姿を消し、北斗は「兄ちゃんや姉ちゃんが超獣を追っ払ってくれた」と子供達に言う。
感謝される暴走族。
北斗はさらに「お兄ちゃんたちがいいとこに連れて行ってくれるぞ」と言い、その気になった暴走族は子供達と原っぱで一緒に遊ぶ。
マフラーを交換しようとしてる暴走族に出会った北斗に超獣出現の連絡が。
工場やバイクの近くに出現することから超獣が音に反応することを突き止める北斗。
工場の近くに超獣が出たと聞いた暴走族達は幼稚園の子供達が危ないと言い北斗と一緒に現場に向かう。
子供を助けた北斗は工場の音を止めれば超獣も消えると思い、工場の操業を停止させる。
しかし超獣は姿を消さない。
北斗は暴走族の元に行き超獣を引き付けるためにバイクを借りる。
子供達を助けるため一緒にバイクで騒音を鳴らすシュンペイ達。
しかし北斗は超獣の攻撃を受け火達磨にされてしまった。
その時北斗の体が光に包まれる。
エースに変身した北斗はサウンドギラーと戦うが、リング状の光線を使うなど意外に手強いサウンドギラーに苦戦する。
しかし最後はアロー光線、メタリウム光線により超獣を一閃。
子供達も無事助かり、シュンペイ達もマフラーを元に戻し暴走行為を止めた。
幼稚園を訪れた北斗と美川は子供達と楽しそうに遊ぶシュンペイ達を目撃。
「TACてかっこいいだろ」と言うシュンペイ達に対して「お兄ちゃん達のほうがかっこいい」と答える子供達。
北斗と美川はシュンペイたちと一緒に園児達と戯れるのであった。

解説(建前)

まずサウンドギラーは何者か。
例の如くヤプールの破片が何らかの生物と合体したものとも考えられるが、それにしてはあまりにもその存在は不可解。
これはヤプールの破片が騒音そのものと合体したと考えた方がいいのではないか。
音が実体化なんて考えづらいが、ヤプールの破片のことだから何があっても驚けないだろう。
そう考えると一瞬しか現れなかったのも納得がいく。
ヤプールの破片は人知れず騒音を吸収し成長していた。
しかし実体化するだけの騒音エネルギーはなかなか貯まらなかった。
だから一瞬現れても持続せず消えたのである。
普段は破片体で騒音を求め動き回っていたのであろう。

TACはサウンドギラーと名付けておいて何故超獣の属性が掴めなかったのか。
これは難しいがそもそもサウンドギラーと誰が名付けたのかわからないので、目撃者の一般市民が名付けたということにしておこう。
一般市民は暴走族の騒音にあやかってそう名付けたのだが、TACはそのことをあまり気にしなかった。
間抜けだがそう考えるしかあるまい。

感想(本音)

やっぱり甘い話。
こういう話はそんなに嫌いではないが、30分番組でやると暴走族の改心ぶりがかなり唐突に感じられる。
超獣を見たショックで世界観が一変したのかもしれないが、北斗がおだてて暴走族を子供のヒーローに仕立てるやり方はまさに彼らが嫌うずるい大人のやり方そのものではないのか。
元々いい奴で子供好きだったとしても何とも釈然としないものが残る所ではある。

今回の超獣の神出鬼没ぶりは今まででも最強ではないだろうか。
まあヤプールがいた頃は空を割って移動してたりしてたので一概には言えないが、一瞬現れすぐ消えるというのは新鮮な感じがした。
それだけにTACがサウンドギラーの属性を掴めてなかったのはお粗末に過ぎるだろう。
MATなら色々作戦を立てて研究するだろうので、TACの無策ぶりは残念な所である。

以下細かい点を少し。
今回もダンは北斗を「兄ちゃん」と呼んでいる。
これは2人がそれだけ仲良しになったということだろう。
しかしダン姉弟の役回りがただ暴走族に追いかけられるだけというのはあまりな扱いである。
最初にダンを登場させたのは長坂さんなのにどうしたことだろうか。
エース対サウンドギラーの戦いのBGMにエースの別テイク主題歌が使われていた。
何故だかよくわからないが、この後43話でも使われていた。
目先を変えたのだろうか。

今回北斗は火達磨になって自分の意思とは無関係に変身している。
その変身の仕方は新マンの郷とそっくりであった。
指輪をつけてればそういう変身の仕方も可能なのか?
暴走族のバイクを借りに何故か前方転回する北斗。
意味がわからない。
簡単に火が移るTACのユニフォームは少し問題を感じる。
所詮見た目の派手さだけなのか?
橋の上から道路に飛び下りるという離れ業をする北斗。
暴走族のセリフ、「本当にいたのかウルトラマンエース」。
案外エースを目撃した人は少ないらしい。
以上、今回は筧監督が色々試そうとしてるのがわかります。

今回北斗が暴走族に構っていることには厳しかった竜隊長。
子供だけじゃなく駄目になりかけてる高校生も助けてあげましょうよ。
北斗は最後美川と顔を見合わせてにっこり。
これって夕子の役なのでは。
この話も夕子を絡めたらもっと面白くなっただろうになと思います。
北斗の昔話は本来なら夕子が聞くべきだし。
暴走族は主要3人以外の顔は記憶に残りませんでした。
スタントマンか何かなのかな。
個人的に暴走族の紅一点、マチコはかわいいと思いました。

今回も正直ドラマ部分が厚すぎて超獣がないがしろになってるのが残念なところです。
超獣の設定自体はなかなか面白いので、もう少し掘り下げて欲しかった。
それなら充実させて欲しいドラマにしてもちょっと甘すぎ。
子供向きなので仕方ないのですが、せめて暴走族が無理して死にそうになるとか大怪我するとか。
もう少し厳し目にしてもよかったと思います。
彼らは散々回りに迷惑をかけたんだし。
市川先生なら容赦なく彼らを殺すか瀕死の重傷を負わしますよ。
まあプロデューサーが許可しないでしょうが。
個人的には長坂脚本。
イマイチ相性が良くありません。


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