データ 脚本は阿井文瓶。 監督は外山徹。 ストーリー 東京近郊に怪獣出現。 ゲンは青島とマッキーで出動する。 マッキーの攻撃をものともしないベキラ。 目を狙って特殊レーザーを浴びせるマッキー。 さらに攻撃をするよう青島から指示を受けるゲンだが、ゲンは怪獣の近くに人がいることから攻撃を躊躇する。 大勢を守るためなら一人の犠牲もやむを得ないと青島。 しかしゲンは自分が助けると言ってパラシュートで脱出してしまった。 ゲンが地上に降下すると、逃げ遅れた人物は大村であった。 大村はパチンコに夢中のあまり逃げ遅れたという。 マッキーはミサイルでベキラを攻撃。 しかし青島の乗るマッキーはベキラの反撃で墜落してしまう。 地上からベキラを攻撃するゲン。 するとベキラの背中にレーザーが命中し、ベキラは姿を消す。 ベキラは背中が弱点であった。 基地に帰ったゲンは隊員たちに命令に背いたことを責められる。 また、ゲンはスタンドプレーが多いとも批判される。 それに対し、怪獣の弱点を発見できたとゲン。 しかし怪獣がそう容易く弱点は晒すまいと反論される。 もみ合う隊員たち。 そこへダンが現れ隊員たちを一喝する。 ダンはゲンに一週間の謹慎を命じる。 「冷静に反省しろ」とダン。 「怪獣の弱点を知ってるのは僕だけです。僕がいない間に怪獣が現れたらどうするんですか」とゲン。 「自分がいなければマックは何も出来ないというお前のその考えが他の隊員の神経に触っているのがわからないのか」とダン。 自分でなければ怪獣を倒せないというゲンに対し「友情やチームワークのことも考えろ」とダン。 「馴れ合いの友情やチームワークに何の価値があるんですか。友情やチームワークのために戦ってるのではありません。戦ってる間に自然に湧いてくるのが友情やチームワークでしょう」とゲン。 「しかしお前は怪獣とは戦えん」とダン。 「俺の背中を攻撃してみろ。お前でなければ退治できないのではないのか」とダン。 ゲンはダンの背中を狙って攻撃するが、ダンに尽く交わされてしまう。 ダンは我心山の白雲庵という寺に住む、十貫という老人に会いに行くようゲンに命令する。 山に行ったゲンはある老人に出会う。 「ダンの奴、また厄介なことを持ち込んできたな」 独り言を言う老人。 その老人が十貫と気付いたゲンは十貫に修行を請うが、十貫にあしらわれてしまう。 そこに小さな男の子が現れた。 その子は老人を十貫坊と呼ぶ。 そのことから、老人が十貫であると確信を強めるゲン。 ゲンは炭火焼を始めた十貫の背後から木の棒で殴りかかる。 しかし十貫はそれを交わすことなく、そのまま殴られてしまった。 取りあえず一人で修行をするゲン。 すると十貫が子どもを連れてどこかへ歩き出した。 それを追いかけるゲン。 すると、2人は川に出た。 十貫は崖を蹴り、川を子どもを抱えたまま飛び越える。 それを見て自らも川を飛び越えようとするゲン。 しかし上手く行かない。 雑念を捨てよと十貫に言われ修行を続けるゲン。 ゲンは何度も挑戦するが、なかなか上手くいかない。 ゲンの特訓は次の朝まで続いた。 翌朝、漸く川を飛び越えるのに成功するゲン。 技を確かなものにしたゲンは、十貫からもお墨付きを貰う。 怪獣が現れたことを十貫から聞いたゲンは急いで山を降りた。 その頃MACは地上からベキラを攻撃していた。 ダンの制止を振り切り、背中を攻撃すると怪獣の背後に向かう青島。 援護射撃をするMAC。 しかし青島は怪獣の火炎攻撃に倒れてしまう。 そこへゲンがバイクで到着した。 ゲンはバイクで怪獣に向かい、倒れていた青島を助ける。 「俺も命令違反しちまったよ」と青島。 ゲンはそのまま怪獣の背後に向かう。 怪獣の攻撃を受けピンチに陥るゲン。 ゲンはそこでレオに変身した。 レオはベキラの攻撃を交わし、ジャンプしてベキラの背後を取った。 すかさず尻尾を取ったレオだったが、ベキラに振り解かれてしまう。 さらにレオはエネルギー光球をベキラの顔面に浴びせるもベキラは倒れない。 意を決したレオは山の側面を利用してベキラの背中にレオキックを浴びせた。 弱点を攻撃されたベキラは大破する。 青島は命令違反の責任を問われダンから謹慎を命じられる。 しかしそれは青島の怪我を慮ってのものであった。 謹慎期間を残したゲンもスポーツセンターに行くように命じられ、2人は肩を組んで基地を出て行った。 解説(建前) 十貫は何者か。 ダンとは旧知の間柄のようだが、具体的にいつ知り合ったのかは謎である。 もしかすると地球に亡命している宇宙人という可能性もありうるが、技が特段人間離れしているということもないので、やはり武道の達人辺りと考えるのが妥当であろう。 あまりに情報が少なくその正体を推測するのは難しいが、個人的にはダンがやたらと武術が上手くなっていることが気になっていたので、ダンの武術の師匠なのではないかと推測する。 ダンは地球に帰ってきた後、何らかのきっかけで知り合った十貫の下で、武術の修行をしたのであろう。 ベキラは何者か。 MACの防衛網を突破してきたことから、どうやら宇宙から来た怪獣のようである。 ただベキラはどう見てもただの怪獣なので、やはり背後に何らかの力が働いているのではないか。 背中を攻撃され姿を消したシーンからはあるいはヤプール配下の超獣かとも思えるが、これはやはりマグマ星人の軍団と考える方が妥当であろう。 もちろんヤプールも含め、悪質宇宙人の軍団というものがあるのかもしれないが。 感想(本音) レオのコンセプトに沿ったエピソード。 その意味では手堅い話といえるであろう。 ただストーリーを見てると、帰りマン的な展開も見られる。 その辺り一応テーマらしいものを盛り込もうという、脚本家及びスタッフ の意志が感じられる。 初っ端から怪獣が現れ逃げられるというのはレオの基本パターンだが、今回はレオに変身する前に逃げられている。 また逃げ遅れた人を発見して攻撃命令に背くのは帰ってきたウルトラマン第5話と同じパターンだ。 ただ帰ってきたウルトラマン5話と違うのは実際に逃げ遅れた人がいる点である。 また謹慎を命じられるのも実は特訓のためであり、その辺りが帰ってきたウルトラマン5話とは異なっているであろう。 とは言え、テーマ自体は隊員たちとゲンの軋轢と解消という点、似ていることは否定できない。 その辺りを比べると、やはり本話と帰ってきたウルトラマン5,6話とで差があることは否定できないであろう。 すなわち、本話では話の尺の関係もあろうが、その辺りが実にあっさり解決しすぎた。 加えて特訓の描写もあっさりしており、結果、詰め込みすぎという印象を拭えない。 ちょっと厳しくなってしまったが、その辺りの練り込み不足は否めないであろう。 本話は珍しくMAC隊員たちのセリフが多い。 しかも青島は準メインの扱いで、これは今までのシリーズの隊員と同様の扱いと言っていいだろう。 ただ青島は演技力はあまり求められていなかったのか、セリフがかなりたどたどしかった。 その辺りは、西田健氏演ずるMATの岸田との差が感じられる。 とは言え、一応青島の熱い正義感みたいなものは伝わったので、キャラ立てという点では成功と言えるだろう。 今回は十貫の存在が謎であった。 解説では一応ダンの師匠ではないかという当てずっぽうな推測もしたが、そこまでの設定まで考えてたかどうかは怪しいだろう。 これはやはり単に、ジャッキーチェンの師匠とか、そういう一般的な師匠のイメージで作られたキャラと考えるのが妥当である。 まあ、怪獣仕掛人ということであるが、正直唐突に十貫の下へ修行に行くように命じるダンの姿は違和感バリバリであった。 ところで十貫は何故自分の正体を隠そうとしたのか。 単に勿体ぶっただけとも取れなくもないが、これはやはりゲンを試したのであろう。 いくら知り合いの頼みだからといって、いきなり怪獣を倒す技を伝授してくれと言われたら普通断る。 十貫はゲンの様子を観察し、ゲンの熱意を汲んでアドバイスをしたのであろう。 ただその辺り描きこみ不足でやや唐突感は否めない。 今回の話で疑問に思ったのは逃げ遅れたのが大村であった点。 今まで大村は比較的いい感じのキャラで描かれていたので、コメディリリーフとはいえ、ああいうモンスター避難民(厄介な避難民という意味)みたいな描かれ方は不満が残った。 逃げ遅れたのはいいが、パチンコの玉を拾うのはやり過ぎ。 まあ、コミカルな線を狙ったのであろうが、そういう場面ではなかったこともあり、正直残念なところである。 しかも被害者が身内ということもあり、ゲンの行動に説得力を失わせてしまったという弊害があった点も問題であろう。 ここは普通に子どもとかにした方が、ゲンの行動に説得力が出て良かったと思う。 ベキラとの対決であるが、最初あっさり背後を取ったのには驚いた。 結局弾き飛ばされるが、あれでは特訓に意味がなくなりかねないので、ちょっと演出的にどうかと思う。 あと、今回初めてエネルギー光球を使っていたが、この辺り設定に関わるだけにやや唐突な印象があった。 ただレオキック自体足にエネルギーを溜めるものなので、それを投げれても問題はないとは思う。 今回の特訓も水に嵌まったりでなかなか大変そうである。 まあ、ここまで滝やジープを経験したのでもう慣れっこだろうが、やはり見ていて気の毒なのは確かである。 しかしこの特訓がどこまで意味があるのか。 まあ、その辺りはあまり追求しないことにしよう。 最後にダンについてであるが、ゲンの慢心を諌めつつもゲンを指導していくという姿勢は、同じ宇宙人ならではの姿勢として評価できるであろう。 それはMACの無力さがわかる立場にあるからこその厳しさでもあり、地球人の力を信じる他の隊長にはないものである。 すなわちダンは、結局レオがベキラを倒すしかないと考えていたのである。 この辺りは上司が宇宙人というレオの基本設定を上手く消化した展開と言えるであろう。 ただダン自身、考えが及ばないこともあった。 それは戦いの中で友情やチームワークが湧いてくるというゲンの主張である。 ダンはゲンにこのように言われ、それに反論できなかった。 結果、ゲンは自ら青島を助けることにより、2人の間に友情が育っている。 ダンはかつて友情のためにアマギ隊員を助けに行った。 そしてその友情は仲間同士が協力して敵と戦ううちに醸成されたものだったはずである。 その辺り、ゲンを育てることに夢中で忘れてはいなかったであろうか。 ゲンにも奢ったところがあったのは確かであるが、ダン自身も見落としていたものがあった。 最後の2人に対するフォローもそういうことに気付いたからとも考えられるであろう。 本話の脚本は阿井文瓶氏。 正直詰め込みすぎな脚本ではあるが、最低限の引っかかりは残されており、及第点と言える出来であろう。 ただやはり設定に縛られての書き辛さも窺われる。 それは謹慎を命じながら特訓を命じる場面にも表れている。 これでは最初から謹慎は名ばかりのものと取られても仕方ないであろう。 特訓編は楽しくもあるのだが、やはりそればかりに偏ると飽きられてしまう。 ここまで8話。 そのシリーズ構成に問題がなかったか、疑問に残るところだ。 |