レオ兄弟対宇宙悪霊星人


データ

脚本は若槻文三。
監督は中川信夫。

ストーリー

パトロール中のダンとゲン。
二人は怪しい黒雲の中から巨大な目玉のついた隕石が迫ってくるのを目撃する。
追跡する二人。
それは宇宙の悪霊が住むという謎の怪奇隕石アクマニヤであった。
トオルのいとこのタカシは母親の誕生日を祝うためトオルを呼びに行く。
一方、母親は隣人の山根父娘と一緒にパーティの買い物に出かけた。
団地の上空で姿を消す怪奇隕石。
その頃タカシの母親たち3人は花屋で花を買っていた。
その花の中から不気味な青い手が。
しかしそれに気付かず花を買って帰る三人。
花を誕生日祝いにタカシの母親に渡す隣の娘のよし子。
家に戻ったよし子は父親に「お隣のおばさんをお嫁さんに貰えばいいのに」と言う。
と、その時急に雷鳴が轟き家の中が暗くなった。
「お父さん、頭が痛い」とよし子。
そして不気味な青い手がよし子の足を掴む。
しかし間もなく部屋は元に戻った。
一方、タカシの母親の家でも同じ異変が起きていた。
頭が痛いと母親。
すると不気味な青い手が母親に襲い掛かる。
隕石が消えた団地の周辺で聞き込みをするゲン。
しかし子ども達に聞いても変わったことはないとの返事。
ゲンはトオルのいとこのタカシに偶然会うが、タカシも異変はなかったという。
家に帰るタカシ。
しかしチャイムを鳴らしても母親が出てこない。
鍵が開いていたので自分でドアを開けて家に入るタカシ。
するとソファの上で母親は倒れていた。
水が欲しいという母親のために水道の蛇口を捻るタカシ。
すると水道からは赤い血のような水が出てくる。
さらに辺りが暗くなってタカシに襲い掛かる不気味な手。
引き続き隕石の調査をするMACだったが、その行方は掴めない。
その頃トオルはタカシの住む団地まで来ていた。
呼び鈴を押すトオル。
しかし中からは返事がない。
ドアを開けて部屋へ入るトオル。
トオルは家の中が散乱しているのを見て驚く。
すると突然雷鳴のようなものが轟き、トオルは家に閉じ込められた。
気を失うトオル。
そこへタカシが来てトオルを起こす。
「お母さんが大変なんだ」とタカシ。
タカシの母親は天井に磔になり、さらに天井は激しく回転を始める。
天井から落下する母親。
さらに不気味な手が三人を襲い、三人とも気を失ってしまった。
パトロール中のゲンは団地の周辺に人が集まってるのを目撃する。
住人の話によると、団地一帯から変な音が聞こえるという。
マッキーを待機させて部屋へ向かうダンとゲン。
音のする部屋へ行くゲン。
すると中から「帰れ」という不気味な声が。
山根の部屋に行くゲン。
しかし山根父娘も悪霊に取り付かれて気を失っていた。
タカシの家へ行くゲン。
ゲンはドアを開けようとするもノブが加熱しておりなかなか開けられない。
何とか部屋に入ったゲンは中で倒れてる三人を発見する。
さらに不気味な手と格闘するゲン。
何とか手を引き離すゲン。
意識を取り戻すトオルたち。
すると団地内にいた悪霊は再び一体化して隕石に吸収された。
団地から逃げ出す住民たち。
怪奇隕石アクマニヤは団地を無差別に攻撃する。
レオに変身するゲン。
隕石と格闘するレオ。
すると隕石に取り付いていた悪霊がその正体であるアクマニヤ星人の姿を現した。
目から怪光線を出す星人。 ウルトラマントで攻撃するレオ。
しかし星人にマントを交わされてしまった。
必殺のレオキックを浴びせるレオ。
さらに星人の折れた角を目に投げつける。
目に角が突き刺さって霊力を失う星人。
さらにレオは星人の手をもぎ取った。
しかし星人は逆にもぎ取られた手を操ってレオの首を絞めつける。
気を失うレオ。
絶体絶命のピンチに赤い隕石が飛来した。
レオの弟アストラ。
アストラはレオを助けると、さらに太陽光を星人に浴びせる。
倒れる星人。
さらにレオとアストラが手を合わせて光線を発すると、星人は元の隕石に戻ってしまった。
隕石を持って宇宙へ飛び立つアストラ。
アストラは大宇宙へ帰っていく。

解説(建前)

アクマニヤ星人は何物か。
宇宙悪霊でもあり星人でもあることから、その性質が謎となる。
素直に考えるとアクマニヤという星の宇宙人ということになろうが、それにしてはあまり知性を感じさせない。
何かの恨みでもあるかのように団地の住人に取り付いたところを見ると、やはり宇宙人というよりは亡者の亡霊と考えるのが妥当であろう。
おそらく、アクマニヤという星はこの世に未練を残して死んだ悪霊が集まる星なのだろう。
そしてアクマニヤ星に集まった悪霊が実体化したのがアクマニヤ星人。
すなわちアクマニヤ星に集まった宇宙悪霊だからアクマニヤ星人なのである。

最後アクマニヤ星人はどうなったのか。
レオとアストラが力を合わせて作り出す光線は単に破壊だけに留まらず、モノを再生するなど特殊な効果を持っている。
この光線により悪霊を封じ込めることに成功したのであろう。
悪霊はその霊力により言わば隕石をロボットのように操った。
その封印が解かれたとき、再び何処かの星を襲うことは間違いないであろう。
ただ、だからと言って隕石を破壊すると、集まった悪霊がばら撒かれてしまい大変なことになる。
岩に封印するしかなかったのは、アクマニヤ星人が悪霊の集合体であるという性質からはやむを得ない措置であった。

感想(本音)

子どもの頃見た記憶がないので、大人になってからが初見の作品。
しかし、これは子どものころ見ても怖いだけで面白くはなかっただろうな。
エクソシストに通ずる悪霊の霊力には時代を感じさせる。
タカシの母親が天井に磔になって回転する時の悲鳴とか、子どもが見たら泣きそう。
本話の脚本は若槻氏。
若槻氏はアトラー星人の回も担当するなど、ホラー系の話を任されることが多い。
そういう話は得意なのだろうか?

本話の内容については、トオルの従兄弟のタカシとその母親、隣人の山根父娘の交流が中心となっているが、結局両家の関係については深入りせず、単なるホラー話で終わってしまった。
まあ、話の内容からはタカシの母親と山根がお互い好意を持っているのはわかるが、そこは敢えて描かなかったのだろう。
ちょっと肩透かしな気もしないではないが、こういう展開もありだと思う。

ただこの話でもっと気になったのはやはり、タカシがトオルの従兄弟という点だろう。
天涯孤独だからこそ鈴木隊員や百子さんのお世話になっているはずなのに、従兄弟や叔母がいるならそっちに養ってもらえばいいのではないか。
これに対しては、やはりタカシ母子も団地住まいで生活に余裕がないというのが理由として挙げられる。
ただある程度の交流があることから、金銭面の援助くらいはしている可能性は高い。

宇宙人の知識豊富なダンは宇宙悪霊についても知っていたようである。
ダンは元々は光点観測員という仕事をしていたこともあり、色々な星へ行っていた。
その時集めた情報が今は役立っているのだろう。
しかし宇宙悪霊と言えば、かつてのシャドウマンを思い出させる。
シャドウマンは宇宙船を保有するなど単なる亡霊とは思えないが、或いは元は同じ宇宙悪霊だったのかもしれない。

ホラー色の強い話ではあるが、目玉のある隕石が飛来するシーンは正直ちょっと間抜け。
しかし、何故こうも地球、特に日本には宇宙からの敵が襲来するのだろうか。
ダンはとうとう来たかというような物言いをよくするけど、何か日本が狙われる理由があるのか?
下手すりゃ、ゲンとダンが宇宙からの敵を呼び寄せてるようにも見えかねない。
まあ、設定上は地球が狙われてるからセブンが来たはずだが、何故地球が狙われるかについては結局謎のままであった。

今回は久々のアストラ登場。
しかしアストラは何処でレオのピンチを知るのだろう。
そもそも3分しか戦えないレオを助けるためにはあまり遠いところにいては間に合わない。
ナレーションによるとアストラが何処に帰るのかは大宇宙の謎ということであるが、これは特に意味はなく単に何処に帰るかを設定していないだけだと思われる。
思うに、レオのピンチにだけ都合よく参上するためには地球に住むのが一番。
実はアストラは人間に化けて地球に住んでるのではないか。
宇宙へ帰ったように見えるのはその振りをしているだけで、本当はこっそり地球に戻ってるだけではなかろうか。

アクマニヤ星人は実体化すると普通の星人。
隕石になって戦うところなんかは前回のキララと被るが、これはただの偶然であろう。
レオの特徴として操演の敵と戦うというのがある。
円盤生物編なんかが象徴的であるが中盤でもすでに隕石と格闘しており、この辺りは新しい試みなのであろう。
因みに演ずる二家元氏によると、円盤生物との戦いが一番難しかったらしい。

本話の監督は前話と同じく中川信夫氏。
怪談映画の巨匠として知られる氏の本領がより発揮されたのが本話ということになろう。
特に前半の団地のパートでは、ホラー映画としてかなりの怖さに仕上がっていた。
後半の戦闘シーンにしてもホラーを意識した演出がなされており、全体的な整合性は取れているだろう。
ただ、やはり最後の流れはウルトラの宿命として戦闘シーンは避けられない。
これがウルトラセブンだったら形だけセブンに変身して敵と格闘しないという選択肢もあるのだが、さすがにレオでは難しい。
その辺りホラーを徹底できない弱さがある。

レオは猟奇殺人に始まり、怪奇シリーズ、ホラー、SFなど様々なジャンルの作品があるが、一部コミカルなものを除いて基本的には暗めの話が多い。
本話もその一つに当たろう。
ただ、全体的に言えるのは、そういう怪奇色やホラー色が強いとどうしても人間のドラマが薄くなる。
本話もドラマという点では物足りなさは否めないであろう。
またホラーとして見た場合も最後はアストラの客演で持って行かれており、ちょっと消化不良気味。
前半の展開がよかっただけに、ちょっと散漫な感じになってしまったのが個人的には惜しまれるところだ。



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