データ 脚本は阿井文瓶。 監督は山本正孝。 ストーリー 神社の境内で子どもたちとおしくら饅頭をする百子。 百子は赤い服を着た見知らぬ子どもがこちらを見ているのに気付き、一緒におしくら饅頭をしようと誘う。 おしくら饅頭に入ったその子は挟まれて苦しくなると、輪の中から抜け出し大声を上げて他の子どもたちを押し込み始める。 百子と子どもたちはその子ども一人に押し倒されてしまった。 「あなたはだあれ?」 「ウリーだ」とその子ども。 宇宙人だと決め付けたトオルたちはその子を捕まえてMACに連れて行こうとするが、ウリーの念力で倒されてしまった。 さらに念力で灯篭や鴨居を宙に浮かせるウリー。 逃げ出すウリーを追うトオル。 一方MACも神社の境内から異常なエネルギーを察知して現場に向かっていた。 トオルと合流するダンとゲン。 ゲンは神社に向かい、ダンは少年を追いかける。 下町の住宅地に逃げ込むウリー。 追い詰められたウリーは念力で辺りの人間や車などを宙に浮かせる。 ウルトラ念力で対抗するダン。 ウリーは逃げ出し、母親に助けを求めた。 母親の顔を見て驚くダン。 ダンはその顔に見覚えがあった。 忘れようもない、ウルトラ警備隊時代を一緒に過ごしたアンヌ。 気がつくとダンは見知らぬ草原の中にいた。 そこに現れるアンヌ。 「アンヌ、君はアンヌだろ。何故ここに。ここは何処なんだ?」とダン。 「ウリー、ウリー、いらっしゃい」とアンヌ。 「ママー」。 ウリーがアンヌの下へ駆け寄る。 「ママ?君の子供か?その子は宇宙人だ。君も宇宙人なのか?」とダン。 走り去る二人。 「アンヌー!」 一人呆然とするダンの下へゲンが駆けつける。 ゲンの話にも上の空のダン。 基地に戻ってからも物思いにふける。 思い立って再びアンヌの住む下町へ向かうダン。 再びアンヌに会ったダン。 「また地球に住むことになって、まず第一に君を訪ねた。しかし君はいなかった。誰も君の行方を知らなかった。あちこち探したよ。必ず何処かに元気にいてくれるに違いないと思って」。 「私はアンヌじゃありません。アンヌじゃないんです」とアンヌ。 そこへウリーが暴れてると連絡が入る。 心配げなアンヌに対して、 「大丈夫だ。任せておきたまえ」とダン。 ウリーは有り余った力を発散させるべく、遊園地の観覧車を破壊していた。 さらにジェットコースターで遊ぶウリー。 ウリーを撃とうとするゲンを制止するダン。 あれは宇宙人ですというゲンに対し、 「違う。俺の知り合いの人の子どもだ」とダン。 さらにジェットコースターまで破壊するウリー。 「俺がやる」。 ダンはゲンたちを制止してウリーに挑む。 念力で遊具回転させるウリー。 「コラー。いたずらはいい加減にしなさい」とダン 「ウリー。いけません」。 そこへアンヌがやってきた。 「あなたですね。隊長の知り合いというのは」とゲン。 ウリーと念力合戦をするダン。 ウリーが破壊する水道を元に戻すダン。 しかしダンの体力は若いウリーに敵わなかった。 ウリーを撃つゲン。 しかしウリーを庇ったダンにその弾が当たってしまう。 アンヌはダンに本当のことを話す。 「違うんです。私の子じゃないんです。宇宙人の捨て子なんです。皆があの子を育てることに反対しました。でもとってもいたずらな子だけど、私ほっておけなかったのです」。 「やっぱり君は」。 「アンヌじゃありません。隊長さん。私はあの子をあなたのような立派な人に育てたいと思っていたんです」。 そのとき、ウリーの念力で飛んできた岩がアンヌを直撃した。 追いかけるゲン。 しかしウリー星人ウリンガに変身し、さらに暴れる。 レオに変身するゲン。 念力で工場を破壊するウリンガ。 さらにレオを念力で操り、レオは苦戦の連続。 あらゆるものを宙に浮かせるウリンガ。 火のついたタンクがレオを襲う。 レオは気がついた。 星人ウリンガが念力を駆使する前に必要な心の準備をしている隙に、必殺技を決めなければならないと。 ウリンガの隙を突いて攻撃するレオ。 優勢になったレオ。 レオは戦っているうちにわかった。 星人は無理をして小さくなっているその窮屈さに暴れたのだと。 ウルトラマントで子どもの姿に戻るウリー。 ママー! アンヌの下に走り寄るウリー。 アンヌはダンの傷をハンカチで手当てしてダンの下を去った。 アンヌー! 呼び止めるダン。 しかしアンヌはウリーと手を取り合ってレオの下へ向かう。 レオの手に乗る二人。 あれはアンヌだったのか、それとも別人だったのか、永久に確かめる術はなくなってしまった。 どこまでも晴れ上がった美しい秋空の中を。 二人を手にしたウルトラマンレオが行く。 解説(建前) あの女性はアンヌだったのか、それとも別人なのか。 これは100%アンヌで間違いないだろう。 アンヌはウリーを隊長さんのような立派な人に育てたいと言っていた。 これはダンを昔から知っていないとおかしい。 さらにダンはアンヌが何度否定しても最後まで女性をアンヌと言い続けた。 これはやはり確信がなければ不可能であろう。 ダンはアンヌを愛していた。 愛する人を別人と間違えるなんていうのはありえない。 永久に確かめる術はないとしても、あの女性はアンヌ以外考えられないのである。 では、ウリーは何物か。 アンヌの説明が真実だとしたら、宇宙人の捨て子ということになる。 ただ、それにしては最後一緒に宇宙へついて行くなどの異常な思い入れは理解できない。 また、ダンに自分の正体を伏せ続けた点も納得できない。 したがって、別の可能性も探ってみる必要があろう。 まず考えられるのはウリーがダンの子どもであるという説。 ウリーがダンの子どもだとすると、宇宙人の子である点、念力を使う点などの説明が容易い。 また、ウリンガの風貌や声などもセブンを思わせる要素があるだろう。 ただ、そもそも人間とウルトラ一族の間で子どもが作れるのかという疑問もある。 また仮にそれが可能だとしても、ダンの様子からはウリーを自分の子どもと考えてる様子が窺えない。 したがって、この説でもやはりいくつか腑に落ちない点が残るのである。 以上より、宇宙人の捨て子説もダンの子ども説もいずれも採用しがたい。 そこで私は第三の説、アンヌと別の宇宙人との子ども説を採用したい。 この説だとアンヌがウリーをあれだけかわいがることも腑に落ちる。 また、アンヌが自分をアンヌではないと言い続けた点も理解できるのである。 すなわち、かつてダンを愛したアンヌはもういない。 仮にダンがいなくなった寂しさから別の宇宙人に惹かれたとしても、もう自分は以前のようにダンに愛される資格はないのだと。 その宇宙人が何処へ行ったのかはわからない。 あるいはメイツ星人のように地球の環境に合わず亡くなったのかも知れない。 あるいはウルトラ兄弟や警備隊に退治されてしまったのかも知れない。 いずれにせよアンヌは地球防衛の仕事を辞め、一人の女性として母として生きていく決意をしたのである。 では何故ダンにウリーは捨て子だと嘘をついたのか。 これは女心と考えれば問題あるまい。 かつての恋人にウリーは他の宇宙人との子とは言いづらい。 また、ウリーは自分の星へ帰れないという意味では捨て子ともいえるのである。 以上より、私はウリーはアンヌと別の宇宙人の間の子供であると解釈する。 では、アンヌとウリーは今まで何処にいたのか。 こんな身近にいるのにダンが気づかないというのは考えにくい。 もちろん灯台下暗しという可能性もあるが、ある種の結界と考えることも可能であろう。 この結界は恐らくウリーの父親である宇宙人の能力だと思われるが、ウリーの力を抑えるためあの辺り一帯に結界を張っていた。 しかし、ウリーは成長しその父をも上回る念力を使い始めたからその結界を破り、挙句大暴れしたのである。 ウリーはダンとの最初の対決ではダンに負けたが、次の対決ではダンに勝利した。 それだけ念力が溜まっていたのであろう。 また、ダンがいきなり草原に迷い込んだのも、時空の捻れと解釈できる。 感想(本音) この話は子どもの頃再放送で見た記憶があるが、正直意味がよくわからなかった。 そもそもあの女性がアンヌかどうかもわからなかったし。 と言うか、子どもの頃はあれはアンヌとは別人だと思っていた。 何か変な和服着てるし、ちょっと痩せて感じも違うし。 今見ればアンヌ以外ありえないのがわかるのだが、ナレーターも別人の可能性を示唆していたし、子どもから見ると難しい話なのは間違いないだろう。 レオファン、セブンファンからも物議を醸す内容であるし、なかなかに曰くつきの話ではある。 では内容に入っていこう。 ウリーが赤い服を着ているのは、やはりウルトラセブンを意識したのであろう。 解釈的にはアンヌの思い入れということになろうが、この辺りはスタッフが意識したものと思われる。 またウリーが念力を使えるのも、やはりダンのウルトラ念力を意識したためだろう。 この辺りの設定からは、スタッフがウリーをダンの息子と認識していたことが窺える。 アンヌを母と慕う宇宙人の子ども。 おまけにその子どもはダンと同じ能力の持ち主。 これでは疑わざるを得ない。 また、特撮スタッフもウリンガを見事にセブンの息子に仕立て上げた。 まず特徴的な目。 ウルトラアイそのものの目は明らかにセブンを意識したものである。 また、全身を覆うシルバーのメタリックの隙間から垣間見える赤い皮膚。 そして極めつけはその声。 ここまで徹底すると、もはやウリンガはダンの息子であることを疑いようがない。 かようにスタッフは確信犯的にウリーをダン=セブンの息子へと仕立て上げていった。 それでは肝心の脚本を書いた阿井氏はウリーをどう捉えていたのだろう。 これに関しては資料を持ち合わせていないので想像するしかないが、やはり阿井氏が下敷きにしたという「狐のくれた子」という民話がヒントになるだろう。 ただ、この民話、私はこれ以外で聞いたこともなく、ネットで検索してもこういう民話が存在するのかは正直よくわからない。 むしろ「狐のくれた赤ん坊」という映画の方が元ネタではないかという意見もある。 この辺りの真偽はわからないが、「狐のくれた子」というタイトルから考えるとやはり脚本家は表向きはウリーを捨て子として設定したのだろう。 ただ、そもそもウルトラシリーズを見てなかったという阿井氏がダンとアンヌの再会物語を構想するはずもないので、この話はやはりスタッフやプロデューサー主導で考えられたものであろう。 とするとプロデューサーから、ウリーをダンの息子という裏設定で書いてくれと言われていたとしても不思議はない。 そしてその裏設定を隠蔽するための「狐のくれた子より」というサブタイトルなら、その念入りさには舌を巻くしかない。 以上、ここまでの考察からすると、巷間で囁かれるウリー=ダンの子ども説がかなりの説得力を持つのである。 ただ、ここまで証拠が揃いながらも素直にウリー=ダンの子ども説を私はとりづらい。 ここからはその反論を幾つか挙げてみよう。 まず、ウリーはトオルたちがおしくら饅頭をしてるときに唐突に現れた。 これは解釈でも述べたが、近所に住んでいるにしては不自然であろう。 おまけにあれだけの念力を使えるのだから、今まで問題にならなかった方がおかしい。 これはやはり、今まではおそらく父親が張った結界を破れなかったからであろう。 私が別の宇宙人の子ども説を取るのは、この辺りの説明が容易であるというのも一つにある。 また、そもそもこの話はスタッフやプロデューサーが何らかの思い入れで作ったのかという点も疑問がある。 すなわち、タロウやレオでは過去の出演者が別の役で再登場する例が多いが、この話のアンヌもその一環と考えられる。 もちろんアンヌはアンヌ役だから別の役ではないが、少なくとも表向きは同じ人物であるとはしなかった。 また、仮に同じアンヌにしてもその性格はもはや完全に別人である。 実はこの話の次の回には、初代マンのハヤタ役の黒部さんとフジ隊員役の桜井さんがゲスト出演する。 つまり、アンヌというよりひしみさんの出演が前提で作られたのがこの話なのである。 そう考えると、そこまで深いところには立ち入らずにウリーを捨て子にしたと解釈する方が自然であろう。 また、ウリーがダンの子どもであるなら、それを隠して別れを選ぶのも正直不自然。 この辺り物語の流れに逆らわずに解釈してみると、アンヌは宇宙人の子どもを育てることによりダンに迷惑を掛けてはいけないと思った。 それはダンがセブンであることを知るアンヌだから尚更であろう。 そして結局アンヌは宇宙人であるダンとは結ばれないと考え、宇宙人の捨て子であるウリーと生きる決心をする。 この辺りはメロドラマ的にはよくある展開であろう。 ただ、この程度の反論ではウリー=ダンの子ども説を否定するにはやや弱い。 正直私も解釈ではウリー=第三者の子ども説を採用したが、スタッフ的にはダンの子どもにしたかったんだろうなという空気は感じざるを得なかった。 ただ、個人的にウリーをダンとアンヌの子どもとするにはやはり納得できない部分がある。 それは二人が男女の仲であったということを受け入れられないというのも一つにはあるが、やはり最終回の例のセリフ。 「人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの」。 このセリフを言ったアンヌがダンとの間に出来た子をダンに黙って育てて、そのことを告げずに宇宙に去るというのが承服しがたいのである。 まあ、そもそも人間とウルトラマンとの間に子どもが出来るのかという疑問はあるが、ウリーがダンの子どもならダンがそのことを自問する展開が本来は必要である。 もちろん子供向けでそんなシーンは挿入できないから代わりに物思いにふけるダンなのであろうが、さりとてあのシーンではむしろアンヌに誰の子か分からない子どもがいることにショックを受けたと解釈する方が素直なので、そこまでの葛藤は読み取れないだろう。 また、ウリーをダンの子どもと思わせる数々の演出にしても、決定的といえるものは何一つないのである。 以上より、私はウリー=ダン説については結論としては否定する。 長々とウリー=ダンの子ども説を検証してきたが、仮にそれが否定されるなら素直にウリー=捨て子説を採用するのが当然だとも思われる。 では私は何故敢えてその説を採らなかったのか。 これはやはり、アンヌの只ならぬ覚悟が捨て子を育てるにしては異常だからである。 もちろん自分の子どもでなくて、愛する宇宙人の子どもであると解釈しても構わないのだが、この辺りについては私の想像で補完することにしよう。 すなわち、ダンと別れたアンヌは自分がダンを愛していたことに気付いた。 以前にも書いたが、私の見解ではセブン最終回の時点では二人はお互いの愛をはっきりとは認識していなかった。 その後もアンヌはウルトラ警備隊の隊員として宇宙からの侵略者と戦うが、その時に出会ったのがウリーの父親だったのである。 そのウリーの父親は正直いい宇宙人とまでは言えなかったかもしれない。 しかし、アンヌはその宇宙人の中にダンと似た優しさ、寂しさを感じた。 その結果、二人は結ばれたのである。 その後宇宙人は何らかの原因で死んでしまう。 残されたアンヌとウリー。 ウリーの父親は予めウリーが暴発するのを予想して、ウリーを結界に封じ込めた。 すなわちその中にいる限り、ウリーは普通の子どもと同じだったのである。 しかしその結界も成長するウリーを封じ込められなくなっていく。 その結果、アンヌはダンと再会したのである。 では何故アンヌはダンに嘘を言ったか。 これはやはり女心からだろう。 アンヌは自分が別の宇宙人と愛し合ったことをダンに知られたくなかった。 それはアンヌが誰よりもダンを愛していたからである。 しかし、現実にはアンヌはダンを裏切って他の男の子どもを作ってしまった。 そこでアンヌはウリーとともに生きていこうと決心したのである。 相手が宇宙人でもそのことにより決して差別しないアンヌ。 そんなアンヌだからこそ、宇宙人の子どもを産み育てることが出来たのである。 ダン、アンヌ、ウリーの3人について記述を裂きすぎたので、他の点も見ていくことにしよう。 今回ゲンは正直あまり存在感はなかった。 まあ3人の話でこれだけの分量になるのだから致し方ないが、それでもゲンの成長らしきものは垣間見られた。 例えば今回はゲンはダンの指示がなくとも自分で判断し行動している。 まあ、肝心なダンが腑抜け状態だったので仕方ないのもあるが、今までは専らダンの言うとおりに動いていたので成長の跡が窺える。 ただ、ダンを銃で撃ってしまうのは如何なものかとは思うが。 因みにダンが死ななかったのは変身できなくても元はセブンだからであろう。 ダンとアンヌの再会シーンでは唐突にセピア色の草原の風景が広がった。 これは心象風景もあるだろうが、やはり結界というか時空のねじれみたいなものも演出されていたのであろう。 しかし和服のアンヌはやはり違和感。 これも以前に書いたが、ウルトラの世界ではウルトラの正体を知る人間は原則再登場できない。 また再登場する場合にはそのことを語ってはいけないのである。 だから、アンヌは別人のようにされてしまった。 まあ正直よくわからない掟であるが(正体を知られたらクルクルパーになるパーマンみたい笑)、ただダンはアンヌに「また地球に住むことになって、まず第一に君を訪ねた」と言っていることから、ウルトラマンの方から正体を明かすのは問題がないようである。 今回はセブンの劇伴がかなり流用されていた。 元々レオは冬木氏が劇伴を担当していることから流用曲は多いのだが、今回は久々のノンマルトのテーマまで聞けた。 このテーマは新マンの「怪獣使いと少年」やエースの「鳩を返せ」などの欝系のエピソードではお馴染み。 したがって本話もその系列に属する作品と看做しても良いだろう。 本話のラストはナレーターの「あれはアンヌだったのか、それとも別人だったのか、永久に確かめる術はなくなってしまった」というセリフで締められている。 しかし解釈で述べたようにあの女性は100%アンヌ以外に考えられない。 例えば、それは演出からも見て取れるだろう。 まずはアンヌがダンと再会したときの表情。 明らかにダンを知っている表情である。 またアンヌは決してダンに「あなたはだあれ?」と聞かなかった。 これもダンを知っているからであろう。 そして、個人的に注目したいのが最後の別れのシーン。 アンヌはダンの傷跡をハンカチで拭いてやるのだが、このシーンはやはり元女医であるアンヌを意識したシーンであろう。 さすがに本格的に手当てをするとばれるのでそれはなかったが、アンヌが本物であるとにおわせるに十分なシーンである。 本話の脚本は前述したが、阿井文瓶。 阿井氏はこれも前述したが、ウルトラに参加するまでウルトラを見たことがなかったらしいので、ダンとアンヌについても正直あまり理解は出来ていなかったと思われる。 こういうメロドラマ仕立てになったのもその辺りの影響が大きいであろう。 もちろんそれは悪いことではない。 少なくとも阿井氏は、ダンとアンヌで話を書いてくれと言われてこの話を書いたに過ぎないからである。 ただ、やはりこれを見る子どもたちはダンとアンヌには並々ならぬ思い入れがあるので、正直この話には違和感の方が大きい。 あまりにも様子が違うアンヌ。 正直不気味としか言いようがないウリーとウリンガ。 ウリンガのセブンを思わせる掛け声にはちょっと嫌悪感を感じるくらいだ。 確かに物語としては一応成立してる。 そして、ダンとアンヌの再会というだけで色々想像が広がるのも確かであろう。 しかし、子供向けとしてはあまりにもデリケートな素材。 二人の再会は本当に必要だったのか。 そしてアンヌがウリーと一緒に地球を去る結末。 二人の永遠の別れということであろうが、これではあまりにも寂しい。 一本の話としては纏まっていても、ウルトラという大河の中ではあまりにも唐突な展開。 私がこの話をあまり好きになれないのは、そういう割り切れなさが残るからである 。 |