データ 脚本は田口成光。 監督は真船禎。 ストーリー カラータイマーが点滅するレオ。 双子怪獣の猛攻を受け、絶体絶命のピンチに陥る。 一方避難する百子とカオルの頭上に車が。 カオルを庇った百子は重傷を負う。 更に黒雲の中からマグマ星人が襲来。 星人の指示によりギラスピンで攻撃する双子怪獣。 レオのピンチを救うべく、ダンは腕をクロスしウルトラ念力を使う。 ウルトラ念力は変身能力を失ったモロボシダンの唯一の能力であった。 しかしそれはダンの寿命を著しく縮める荒業でもあった。 ウルトラ念力により動きを封じられる双子怪獣。 その隙にレオはレオチョップで双子怪獣の角をへし折る。 しかしダンは力尽き、ウルトラ念力は解除された。 逃げ去る双子怪獣とマグマ星人。 倒れこんだダンの下へ向かうゲン。 「お前は何故私の忠告を無視して戦った」とダン。 「しかし僕は勝ちました」とゲン。 「お前は自分の星が全滅された憎しみだけで戦ったのではないか」。 「お前は命を失うところだったんだぞ。お前一人の力で星人を追い返したと思ってるのか」。 「お前は自分が守らねばならない隣人を巻き添えにしたんだ。百子さんは病院で生死の境をさまよっている。今度奴等が現れる時我々が守りきれなかったら、日本は沈没する」とダン。 百子の見舞いに行くゲン。 しかし百子は意識不明の状態だった。 森の中で怒りに任せて修行するゲン。 そこへダンが現れる。 ダンは「スピンにはスピンだ」といい、杖を回転させ回転するコマに当て弾き飛ばしてみせる。 ゲンはきりもみキックをマスターするようダンから指示される。 一方MACはマグマ星人の襲来に備えパトロールを強化していた。 特訓を続けるゲンであったが、百子のことを考えると気が気ではない。 たまらず百子のところへ向かおうとするゲン。 しかしその前にダンが現れ、それを阻止する。 「きりもみキックはどうしたんだ」とダン。 「しかし百子さんが」とゲン。 「練習を続けるんだ」一喝するダン。 ゲンはダンとともに特訓を続ける。 その頃東京湾に再び双子怪獣が現れた。 迎撃に向かうMAC。 ダンの指示により一人特訓を続けるゲン。 怪獣の前になす術ないMAC。 焦るダン。 その時ゲンはきりもみキックを成功させ、岩を砕くことに成功する。 ゲンはレオに変身し、東京湾へ向かう。 怪獣と格闘するレオ。 しかしマグマ星人に邪魔をされ苦戦する。 ギラスピンを試みる双子怪獣。 一般人を巻き添えにしないため、怪獣を海へ誘うレオ。 レオはギラスピンに弾かれ海へ叩き落される。 心配そうに見守るダン。 レオのカラータイマーが赤に変わった。 星人と双子怪獣の猛攻に海中に沈んだレオ。 しかしレオは海から飛び出し、宙できりもみ状に回転を始めた。 そのまま双子怪獣の頭上からキックを浴びせ、双子怪獣の首を叩き落す。 それを見て逃げるマグマ星人。 百子の見舞いに行くゲン。 しかし百子の病状は改善しない。 「死なないでくれ」。 海岸で悲嘆するゲン。 その夜、黒潮島を覆っていた海水が引くとともに、百子の命も蘇った。 ゲンに助けられた夢を見たと百子。 そこへダンがカオルとともにやってくる。 「お前のために太陽が昇っている。お前はこの大自然を星人から守ったのだ」とダン。 しかし悪辣なマグマ星人はいつ戻ってくるかもしれない。 レオとマグマ星人の戦いは今始まったばかりなのだ。 解説(建前) マグマ星人は何者か。 L77星を滅ぼしたことから星の破壊や虐殺そのものを目的としてるようにも見える。 しかし見方を変えると、レオやセブンといったウルトラ兄弟を狙ってL77 星や地球に来たとも取れる。 これ以後目立った行動を取っていないことからその素性や目的に謎は残るが、レオを倒すことが目的ならもっと頻繁にやって来て不思議はないので、やはり破壊そのものを目的としてると考えるのが正解であろう。 この件に関してはまたいずれ述べる。 感想(本音) 設定を一応消化して、戦いと特訓に重きが置かれた話。 敗北、特訓、再戦、勝利。 このパターンはレオ序盤の基本パターンとなる。 ただこのパターンの繰り返しはドラマ的な面での深みを削いでしまう。 脚本的にも縛りが多く、いずれこのパターンが終わりを見るのは当然の結果といえよう。 もちろん、スタッフもそれは予定していたはずだが。 今回はゲンの恋人百子さんにスポットが当たった。 ただ現段階では明確に恋人とはいえないよう。 お互い意識はしているようだが、まだそこまでの段階ではないようだ。 その点、郷が鈍感でアキを妹扱いしてたのとは違う。 この2人の関係もレオのテーマの一つとなる。 今回ゲンはウルトラ念力を初披露する。 えっ、こんな能力持ってたんだという突っ込みもあるが、短時間とは言え敵の動きを封じるのだからなかなかのもの。 やはり荒業過ぎて、変身可能な時にはあえて使うことはなかったのであろう。 一方、MACの隊長としては敵に対して有効な作戦を立てられなかった。 これは隊長としては人間のやり方に縛られているためであるが、その狭間の苦悩というものは従来の隊長にはなかったものである。 ウルトラセブンと人間モロボシダンという2つの立場から来る苦悩は以後も描かれ続ける。 マグマ星人は双子怪獣が敗れると去って行った。 見ててもマグマ星人自体はそれほど強いとは思えない。 思うにどこかから双子怪獣を連れてきて、それを手懐け暴れさせていたのであろう。 もしかすると、そういう怪獣を貸し出す業者というものがいるのかもしれない。 ブラックスターも案外そういう業者の一つなのでは。 その辺りについては最終クールで検討することにする。 今回はお馴染み特訓が初登場。 スポーツクラブで何も掴まないでクルクル回転するのは凄すぎるぞ。 一緒にいた猛もさぞかし度肝を抜かれたであろう。 しかし隊員になったそばから、怪獣出現にも出撃せず一人特訓というのは明らかに特別扱い。 正直他の隊員から不審に思われてもいいような気もするが、そういうダンのある意味ゲンびいきがMACの弱さに繋がるのは皮肉な話だ。 今回も特撮シーンの出来が素晴らしい。 最近のCGにないリアルさのある画面作り。 特にレオ対星人、双子怪獣の戦いはテレビでは限界かと思わせるくらいの作り込みである。 それだけでもこの1,2話は見る価値があるといっても過言でないであろう。 またマグマ星人もメビウスで見るよりかっこいい。 それは単にメビウスの星人が弱いからではなく、やはり手作り感と言うか、メビウスの星人が綺麗過ぎるのもあるだろう。 フィルムが適度に痛んでいるのもリアルさを醸していると思う。 予算不足も何のそのの贅沢な作りのこの1,2話。 掴みとしては文句なしである。 ただ、以後特撮のスケールが落ちることにより徐々に視聴者離れを引起してしまう。 ストーリーもマンネリ化するし、この勢いを持続できなかったのは残念だ。 ただ時代は怪獣ブームの終焉期。 内容だけに敗因を求めるのもまた違うであろう。 レオという作品を見た場合、特別他のシリーズに劣るということはない。 それは今見ても十分楽しめることからも明らかであろう。 確かに特撮や怪獣の造形、脚本のマンネリなど粗も多い。 しかしレオにはそれを補うものがあるのも確かだ。 それはダンとゲンという2人の宇宙人の物語であり、ゲンと百子の恋愛ストーリーであり、ゲンとトオルの成長物語でもある。 これまでも「帰ってきたウルトラマン」など連続物の要素を持つ作品はあった。 しかしレオほどそれを推し進めた作品はなかったであろう。 レオが一話一話のエピソードの出来に比して面白く感じられるのはその辺りに要因がある。 いずれにせよ、全話通して見ないことにはレオの面白さは語れないはずだ。 |