怪獣対超獣対宇宙人


データ

脚本は市川森一。
監督は筧 正典。

ストーリー

TACはレーダーで妖星ゴランを発見。
ゴランは6日後にも地球に衝突し、地球を破壊するという。
TACはゴランを破壊するため、迎撃ミサイルマリア1号の打ち上げを決定。
発射基地には山中の婚約者マヤがいて、発射の秒読みをすることになっていた。
TAC基地へ帰る途中マヤに婚約指輪を渡す山中。
いよいよマリア1号の発射の秒読みが始まるが、発射直前に突如地中からメトロン星人が出現。
マリア1号は破壊されてしまう。
さらにメトロン星人は基地に乗り込み、マヤを殺してその体を乗っ取った。
発射基地へ駆けつけたTACだったが、基地は既に火に包まれており中の人員たちの生存は絶望視されていた。
しかし山中は火の中に突入し、奇跡的にマヤの救出に成功する。
マリア1号を破壊されたTACは梶にマリア2号の完成を急ぐように依頼する。
その時、北斗と南は超獣と宇宙人同時に出現した場合に備えてエースバリアーの使用を検討していた。
エースバリアーはエースのエネルギーの半分を使う技で、北斗か南どちらかに多大なダメージを与える虞があったのだ。
地球の身代わりで死ねれば本望だという南。
一方その頃マヤに乗り移ったメトロン星人は、燃えずに残ったマリア2号の設計図を盗み出しに病室を出る。
しかし、北斗に見つかった星人は北斗の銃により怪我を負ってしまう。
その怪我が病室のマヤにもあったことから、マヤを問い詰める北斗。
北斗がマヤをメトロン星人と見破り銃で撃とうとした瞬間、山中の銃が火を吹いた。
銃を弾かれる北斗。
マヤがメトロン星人だと説得する北斗だが、マヤは山中に取り入り、北斗は山中に殴られる。
その時、ヤプールはTAC壊滅のため、超獣ドラゴリーを送ってきた。
TACは出撃し、ドラゴリーを迎え撃つ。
北斗と南はエースに変身する決意をするが、北斗は星人が基地にいると言って、エースバリアーの使用を夕子に告げる。
その頃、メトロン星人はTAC基地を破壊し、設計図も燃やしてしまう。
エースはエースバリアを使用し、ドラゴリーを封じ込めることに成功。
しかし、変身を解いた北斗は倒れている夕子を発見する。
エースバリアは夕子のエネルギーを使う技だったのだ。
隊員たちが戻ると、TAC基地は見るも無残に破壊されていた。
マヤがメトロン星人だと主張する北斗。
山中と口論になるが、夕子になだめられた北斗は山中に謝る。
一方、マリア2号の設計図は梶が覚えており、作成は続行される。
妖星ゴランの衝突まで後3日と迫った。
山中にマリア2号が見たいと言うマヤ。
マヤの態度に不審を抱いていた山中であったが、最後の賭けでマヤを信じることにする。
マリア2号制作の秘密工場の入り口では北斗と南が見張りをしていた。
あくまで北斗を信じるという南。
南が考えがあると言った時、マヤと山中がやって来た。
マヤを撃ってでも入室を阻止すると北斗。
しかし、南はあっさり入室を認め、マヤに1つだけ条件を提示する。
指につけている指輪を渡すこと。
しめたとばかりに指輪を渡すマヤであったが、それは南の仕掛けた罠であった。
婚約指輪をあっさり渡すマヤを見て全てを悟った山中は、マヤが北斗に銃を引いた瞬間にマヤの腹を撃った。
倒れこんだマヤはメトロン星人に変身。
南は山中に指輪を返しながら、マヤの敵を討とうと言う。
メトロン星人を崖まで追い込み、転落させた北斗らであったが、メトロン星人は巨大化して暴れだす。
チャンスとばかり超獣を送り込むヤプール。
エースバリア抜きで超獣たちと戦うことを覚悟した北斗と南はエースに変身する。
しかし、2対1では分が悪く、苦戦を強いられる。
そこへ地中から怪獣ムルチまで出現。
さらにゴランも刻々と迫っており、大ピンチに陥るエースであった。

解説(建前)

いきなりメトロン星人が出現してきたり、エースバリアを使ったり、謎だらけの今話であるが、一つ一つ検討することにしよう。

まずメトロン星人であるが、ジュニアということで昔やられた父の復讐にでも来たのであろう。
とにかく地球を破壊することに異常な執念を燃やしていた。

エースバリアより、メタリウム光線の方がいいと思うが、戦ってる時の主導権は北斗が握っているようなので、北斗がこうと決めたら従うしかないのであろう。
エースバリアーの使用を南と相談しているところからも、エースの本体はあくまで北斗であることが窺われる。
とすると、エースが乗り移っているのは北斗なので、南にはエースの体は宿っていないものと想像される(特殊能力は授かっている)。
リングを付けてる関係上変身は2人でしか出来ないが、リングを返せばあっさり1人で変身出来たことからエースが2人に分離して乗り移っていたとは考えづらい。
リングを通じてエースと意思は通じているが、南はエースにとってはプラスアルファの存在でしかないのであろう(2人である必然性はないという意味で)。
北斗1人では不安なので(郷秀樹のように)、心の穏やかな夕子にリングを与え北斗をサポートしようと考えたのかもしれない。

変身後夕子は、北斗が変身したエースの1部に吸収されるものと考えられる。
ただし変身後は南もエースの1部を構成してるので、エースのダメージ(特にエネルギー面)を受ける場合もある。
エースと北斗、南の関係は非常に難解なので、またその内改めて検討する。
とりあえず、エースがエースバリアーに拘ったのは、北斗(とエース)の弱気(2対1になるのを恐れた)が原因だったと解釈することにする。

あと、何故地球の危機なのに他の国は何もしないかというと、それはマリアクラスのミサイルを作れるのは日本のTACしかないということであろう。
それだけマリアが高性能なミサイルであることが窺われる。
同時にその設計をした梶は世界で1番の科学者なのかもしれない。

地球が破壊されたら困るはずのヤプールがTACの邪魔をするのは、ヤプールは人類が死んでも地球さえ手に入れば構わないので、何も考えてなかったからではないか。
ゴランが衝突する前にTACを滅ぼし、ギリギリのところでゴランを破壊するつもりだったのかもしれない。
それくらい、ヤプールには容易であろう。
メトロン星人のマヤはTACの秘密基地の場所がわかれば、巨大化してマリアを壊せたのに何故そうしなかったかは、巨大化するには邪魔が入ると駄目だから、出来なかったと解釈しよう(些細なことだが)。

感想(本音)

ややご都合主義的なシナリオであるが、盛り上がりはエースの中でも屈指であり、このまま最終回にでも出来そうな前後編となっている。
まず、今回は吉村隊員が大活躍。
え、そんな場面あったってか?
いや、今回吉村隊員はメトロン星人とムルチの名前を知っていて、咄嗟に仲間に教えています。
生物に詳しい面目躍如である。

エースバリアーはこの前後編以外では見た覚えない。
それだけハードな技ではあるが、労力のわりに効果が薄いから当然であろう(単に夕子をボロボロにするための技)。
今回は梶も大活躍。
マリア2号をあっさり完成させる知識、指導力たるや大したもの。
地球の危機を救ったのは紛れも無く彼である(エースは当然として)。

今回の目玉は幻の夕子こと、関かおりのマヤ。
ちょっと大人っぽい風貌からこの人の夕子だとどういう展開になったか興味深い。
案外月に帰らなくてすんだかも。
とは言え、やっぱり関かおりだと安っぽいメロドラマみたいになりそうなので、夕子は星光子で大正解だったと思う。

地球の身代わりで死ねれば本望と言う夕子。
月星人でありながら、地球も故郷というモロボシダン状態。
まあ地球が無くなれば自分も死ぬので当然かもしれないが、その覚悟には胸を打たれる。
今の子供たちにはこういうドラマこそ見せるべきではないか(平成ウルトラマンはあまり見てないからわからないが)。
また北斗を信じるという夕子の態度には、単なるエースのパートナー以上のものを感じる。
その無条件での信頼はある種宗教的ですらあるが(それが愛なのだろうか?)。

エースバリアーでドラゴリーが消える特撮は美しかった。
エースはこういう光学系の特撮は非常によく出来ている。
惜しむらくは人形だけか。
今回妙にエースが長く戦っていた気がするが、それは触れないでおこう。
気にしてたらきりがない。
隊長が爆破された発射基地に来た時のセリフ。
「おそらく誰も助かった者はいないだろう」はあまりにも無慈悲。

山中のドラマ、北斗と南のドラマ、妖星ゴランとTACのドラマ。
今回は見所タップリでした。
後編に続く。


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