データ 脚本は石堂淑朗。 監督は古川卓己。 ストーリー 空から舞い降りる超獣。 連絡を受けたTACはすぐに出動し攻撃を加える。 すると超獣は一目散に逃げ出し、手招きしたかと思うと空に舞い上がって姿を消した。 「やっつけたのかなあ」と吉村。 しかし北に100キロの地点に再び超獣が出現。 TACが攻撃すると、また同じ地点で姿を消してしまった。 同時にスペースも姿を消してしまう。 辺りを調査するTAC。 すると竜の通信機に吉村の声が。 吉村によると自分達は超獣と一緒に過去に戻ってしまったようだという。 過去に戻った美川と吉村は地元の山賊らしき者たちに「赤鬼」と言われ捕らわれてしまう。 2人が襲われる様子を通信機で聞いていた竜は吉村が「ダイダラホーシ」と言ってるのに気が付く。 地元の村人に聞いてみると、足窪村にはダイダラホーシの伝説があるという。 2人の身を案じた今野は竜に早く2人を救出するよう進言。 竜は考えた末タイムマシンを使うことにする。 極秘にされてはいるが、タイムマシンは研究所では現代試作段階にあるという。 研究所に行って事情を話すが、何百年も昔に行くのは現段階では無理という。 それに過去に人が行って小枝一本折れば現在のこの世界が存在しないことになることもあり得ると言い、使用を許可してはくれなかった。 北斗は必死に何故タイムマシンを借りて2人を助けに行かなかったのかと隊長に訴える。 竜は仕方なくスペースに新装備をつけ過去に向かうことにした。 すると再び超獣が出現。 竜と北斗はスペースにつけた新装備の銛を超獣に打ち込み、超獣にくっついて時間を越えることに成功した。 過去に戻った2人は山賊に見つかり「赤鬼」と言われ襲われる。 北斗は山賊を撃とうとするが、竜に「1人殺せば歴史が変わってしまう」と制止される。 2人は歴史を変えないよう山賊たちの気を失わせ、馬を奪い美川、吉村救出に向かう。 山には金色の大仏があり、その近くに人身御供として磔にされ火あぶりにあう美川と吉村がいた。 そこへ超獣が出現。 槍を投げ、銃で迎え撃つ2人。 しかし竜は馬が暴れ落馬してしまった。 北斗も馬に振り飛ばされるが、エースに変身。 木を抜き超獣とチャンバラをするエース。 しかし倒したかに見えた超獣が急に復活しエースは馬乗りにされボコボコに殴られる。 しかし最後は光線一閃。 超獣を倒したエースは気を失った隊長ら隊員たちを抱え時間を越えるべく空間の割れ目に入り込む。 時間を越えるエース。 遂にエースは現代に戻り3人を地面にそっと寝かせた。 気が付いた3人は自分達がエースによって現代に戻されたことを知る。 北斗も別の場所から現れ現代に残った山中、今野と合流。 颯爽と基地へ引き上げる隊員たちであった。 解説(建前) まずダイダラホーシは何者かであるが、過去にあんな超獣がいたと考えるよりは現代から過去に行ったと考える方が素直である。 したがって例の如くヤプールの破片から作られた超獣であろう。 ただし現代で超獣化していればもう少し早く超獣が発見されてないといけない。 したがって現代のヤプールの破片が時空の割れ目から過去に戻り作られた超獣と考えるのが素直である。 そして過去の世界で時空の割れ目から現代に行けることを発見し、過去と現代を行き来した。 歴史に少しだけ影響を与えたが比較的短期間でエースに倒されたので、民間伝承程度で済んだのであろう。 と言っても足窪村の言い伝えがダイダラホーシのことだとすると、タイムパラドックスが発生し、わけがわからなくなる。 ドラえもん的に考えて歴史はどこかで辻褄が合い影響がないとするか(無茶な)、ドラゴンボール的に考えて別の次元に違う世界が出来たと考えるか、各自の判断に任せるしかない。 ダイダラホーシが過去に戻ることも歴史の必然と考えて、矛盾はないと言い切ることも不可能ではないであろう。 吉村の通信を現代の竜隊長が受信できたのは何故か。 これはおそらく現代と過去をつなげる時空の隙間から電波だけやってきたのではないか。 原理はわからないが、人が移動できるのだから電波が届いても不思議あるまい。 TACだけに特殊な波長を使ってるのかもしれない。 いずれにせよ、TACの通信機がかなり高性能なのは間違いない。 ダイダラホーシは自分のいた世界に戻ることはなく、美川・吉村と竜・北斗は現代の時間の流れと同じくらいの時間差で過去に戻っていた。 これはおそらく現代と過去の時間が平行的に進んでいたからと考えられる。 入り口と出口とが1つずつしかないことからも、そう考えて問題ないであろう。 因みに現代にはもう1つ移動できるポイントがあった。 しかしこのポイントは過去とは繋がってないのではないか。 ヤプールに操られていた超獣は空を割って移動したり神出鬼没に現れていた。 現代には空間の割れ目が一杯あって比較的移動が容易なのではないか。 その内の1つが過去と繋がっていたとしても不思議あるまい。 あるいはヤプールと関係あるのかもしれないが、いずれにしても我々の理解を超えているのは間違いないだろう。 最後に竜隊長はどうやって過去から現代に戻る気だったのか。 これはおそらく再び超獣にくっついて戻るつもりだった考えるのが素直である。 超獣を攻撃したのはまだ美川らを救出してなかったことからとりあえず、敵を追い返すのが狙いだった。 本当ならエースが超獣を倒して「あ〜あ」だったのだが、結果的にエースが現代に返してくれたので事なきを得たのだろう。 因みに吉村らの服がきれいになってたのは、時間を越える途中に微粒子で摩擦を受けてきれいになったとかそういう理由と考えられる。 感想(本音) タイムトラベル物という王道SFな話。 エースはゴルゴダ星の時マイナス宇宙というものが出てきたり、対ヤプールでは異次元空間へ突入したり、とかくSF的な話が多い。 意外に見逃されがちだがエースの特徴の1つであろう。 今回特技監督は田渕吉男氏。 相撲を取ったり(15話)、闘牛をしたり(10話)変な演出が多い同氏だが、今回も相変わらず変な演出が多用されている。 まず、冒頭の戦闘シーン。 何故かスペースがしきりに回転している。 普通に考えたらそんな意味のないアクロバット飛行するわけないんだが、これもお遊びの演出か。 時間を飛び越えるシーンはまともだったが、最後のエース対ダイダラホーシのシーン。 起き上がりこぼしのように立ち上がるダイダラホーシや木を引っこ抜いてのチャンバラ対決。 おまけに死んだと見せかけての逆襲シーンなどお遊び満点の演出が多かった。 良し悪しは別にして面白いと思う。 田渕氏は遊び心豊かな監督のようだ。 以下ツッコミを少し。 山賊を撃とうとする北斗に「1人でも殺せば歴史が変わってしまう」と竜。 おいおい北斗。 いくら奈良時代だからって人を殺していいってもんじゃないぞ。 ヒーローとしてあるまじき行為だ。 それに自分で「我々は小枝1本折らない」って言ってなかったっけ? エースに変身して木は引っこ抜くはやりたい放題だったな。 これだけ言行不一致な奴も珍しい。 「どうやら過去のよう」てよくわかるな吉村。 あんな場所現代にもあると思うが。 それに超獣が消えた時の「やっつけたかなあ」はないだろ。 データ重視の吉村も超常現象には弱いようで。 とすると、過去に行ったというのも気が動転していたのかもしれない。 竜隊長の新装備は超獣にくっつくための単なる銛。 う〜ん、無謀すぎる。 しかしそれで何とかなるから世の中恐ろしい。 しかし隊長もそんな信じがたい話あっさり信用するものだ。 でもタイムマシンを借りてもどこにいるのかわからなければ意味がないぞ。 結局超獣にくっついていくのが最良の方法だったというわけですね。 あの時代は大仏があるから奈良時代みたいにナレーションで言われていたが、あんなところに大仏さんてあったっけ? しかもどう見ても別物だし(鉄拳風に言うと「奈良の大仏さんが違う大仏さんになっちゃっててる」)。 でもあんなところに誰が大仏建てるんだ? 山賊が建てるとは思えんし。 どういう村なんだろう。 北斗と竜が乗っていた馬。 弾着にノイローゼになって使い物にならなくなり怒られたと嵯川氏のインタビューにありました。 馬はデリケートな生き物。 音には敏感だし仕方ないでしょうね。 今回の話は完全にほら吹き男爵系の話。 そういった意味では同じ石堂氏でもバキューモン編に通じる所があるか。 夕子帰還編もそうだが、実は石堂氏はアニミズムだけでなくSF的な要素を加えるのも上手い。 こういう素材にチャレンジした氏とスタッフの意気込みは評価できるだろう。 如何にもエースらしいバラエティに富んだ話の1つ。 タイムトラベルと時代劇という2つの要素を見事ミックスして上質の娯楽作品に仕上がっている。 個人的にお気に入りの話で終盤お薦めの話のうちの1つ。 石堂氏のセンス光る快作である。 |