怪談!雪男の叫び


データ

脚本は石堂淑朗。
監督は上野英隆。

ストーリー

ゲレンデでスキーを楽しむ北斗、ダン、香代子。
そこへ地元の村人達がスキーでやって来た。
「変な男を見なかったか」。
村人達は20年来、山に住むという仙人男と呼ばれる男を追っていた。
仙人男は山から里に降りてきては悪さをして回るというのだ。
その頃仙人男は山に逃げ込んでいた。
仙人男は自分を迫害する村人達を恨んでおり「彼らに災難を与えてやる」と言い、まじないと変な踊りを踊り始める。
すると山から雪煙が上がり始めた。
逃げる男。
しかし男は吹雪に捕まってしまい、雪の中に飲み込まれてしまう。
突然の吹雪に逃げ惑うスキー客。
北斗らも何とか避難場所の小屋に逃げ込む。
すると1人の男が外を見てビックリして腰を抜かしていた。
男は小屋の外に大男を見たと言う。
本部に連絡する北斗。
しかし塩沢付近には何の異常も見られないという。
すると小屋の外はいつの間にか晴れ渡っていた。
北斗らが小屋を出るとそこには大きな足跡が。
例の乞食仙人のいたずらではないかという村人に、あの吹雪の中それは難しいと言う北斗。
猟師は雪男ではないかと言い、2人で足跡をつけていく。
北斗とダンも足跡をつけていくことにした。
猟師が足跡をつけていくと、山深いところで足跡が消えてしまった。
そして突如山が盛り上がったかと思うと、吹雪が猟師たちを襲う。
2人は吹雪に飲み込まれて気を失ってしまった。
足跡をつけてきた北斗とダンは気を失った猟師たちを発見する。
雪男を見たという猟師の言葉を受け北斗はTACに連絡。
本部で塩沢付近の雲を鑑定した結果、大きなエネルギーが観測され超獣のものと判定された。
竜は北斗に村人達を避難させるよう命じ、自らもファルコンで出撃する。
北斗は猟師たちを小屋に避難させると、後をダンに任せて1人で村を探索する。
北斗が村を見つけ各小屋を調べるとみな氷漬けにされていた。
ホテルに戻った北斗らTAC隊員達は敵の正体について話し合う。
吉村によると、これは明らかに獅子座第三星の生物の仕業に違いないと言う。
彼らが地球を自分達の住みやすい環境にするため、乞食仙人の恨みと体を利用しているのではないかというのだ。
翌日自ら敵に先制攻撃を仕掛けるべく山に向かうTAC。
そこに現れた超獣に熱戦銃やTACガンで攻撃を仕掛けるが、超獣には通用しない。
一旦退却してホテルに戻るTAC。
しかし村人からは「何を逃げて来たんだ。TACが超獣を連れて来る。出て行け」と言われる。
やむなく自らおとりになるべく外に出て戦うTAC。
ホテルではダンがそれを追い掛けようとしていた。
「僕はウルトラ6番目の弟だぞ。自分が助かりたいために他の人を外に追い出すような人間じゃないんだ」と言う。
その時ホテルに吹雪が入ってきた。
それを見た隊長は「何を言われても踏みとどまって彼らを守るべきだった」と言う。
隊員たちが戻ると、ダンや村人達は氷漬けになっていた。
まず超獣を倒すことが先決という隊長。
TACはファルコンとスペースで出撃する。
攻撃が通用しない上に視界が悪くなったことから隊長は脱出してファルコンごと体当たりするよう命じる。
ファルコンに引き続いて北斗の乗るスペースも体当たりするべく超獣に向かう。
吉村を先に脱出させた北斗はスペースもろとも超獣に体当たり。
そのままエースに変身した。
赤い光線や冷凍ガスに苦戦するエース。
エースは一旦氷漬けにされ動けなくなってしまう。
しかし自らのエネルギーで氷を溶かすと、バーチカルギロチン一閃。
フブギララは真っ二つになり、中から乞食仙人が弾き出される。
すると、氷漬けにされていた村人らは元の姿に戻った。
村人と和解し髪を刈る仙人。
男は地元の遭難救助隊に入り自らの経験を生かすことにする。
ゲレンデでは楽しく談笑するTACとダン姉弟の姿があった。

解説(建前)

フブギララは何者か。
吉村の説明によると獅子座第3星の生物のようだが、仙人男の恨みや体を利用している等曖昧な点も多い。
しかし体を利用しているという点は仙人男が真っ二つになったフブギララの体から飛び出してきたことからも疑わしい。
よくわからないが、フブギララは人の恨みや復讐心をエネルギーとして動く生物兵器なのではないか。
獅子座第3星人はとりあえずフブギララだけ送り込んで、人間同士のいがみ合いを利用して地球を冷凍化しようとしたものと考えられる。
もしかすると、フブギララは他の地域にも送り込まれてるのかもしれない。

しかし吉村は何故この吹雪が獅子座第3星人の仕業とわかったのだろう。
これは以前にも同じような事件があったとでも考えなければ説明がつかない。
もしくは海外で同じような事件がありTACのデータベースに載っていたのかもしれない。
とするとフブギララは他にもいたというのはあながち的外れではないであろう。
今回のフブギララは仙人男の恨みが強烈だっただけにエースが苦戦するほど強力になったとも考えられる。

仙人男は何らかの原因で村から迫害を受けていたのではないか。
悪さを働くのも冬場は山に食糧がないから食糧を盗んでいるのではないか。
生活のためやむをえなかったのだろう。
最後はTACの仲裁で仲直りしたものと考えられる。

フブギララを倒した後、村人らの冷凍状態が解けたのは何故か。
これは難しいがフブギララのエネルギーが仙人男の恨みだとすると、男が改心した途端冷凍が解けたのではないか。
もしくはフブギララの冷凍能力は人を表面的に凍らせるだけで、体の中は暖かかったのではないか。
とすれば自然解凍したとも考えられる。
この件は難しいのでこの辺で。
何かいい案があれば教えてください。

感想(本音)

荒っぽい脚本。
ちょっとやっつけ仕事の嫌いがある。
タイアップしたスキー場を絡めるための強引な脚本であろう。
敵が死んだら元に戻るパターンはこういうヒーロー物ではお馴染み。
しかしやはり安直の謗りは免れないであろう。
吉村が獅子座第3星の仕業と断言するのは何とも不自然かつ唐突。
御都合主義以外の何物でもないであろう。
フブギララの中から仙人男が飛び出したり、何事もなかったように村人と和解したり、石堂氏のやる気のなさがヒシヒシと伝わる脚本である。

脚本に文句つけるのはこれくらいにして、その他気になった点。
今回も監督は上野英隆。
例の画面が赤くなる演出が仙人男や猟師が雪に飲まれるシーンで使われていた。
今回ダンはウルトラ6番目の弟と自ら主張している。
一応石堂氏はこの設定を少しは使おうとしているようだ。
香代子がストックを使って雪男の足跡をカメラで撮るシーン。
「おっ、香代子もたまには役に立つんだな」と思ったら結局その写真は使われず、単に画面から退場するためだけの話であった。

全員が凍り付いているのを見て隊長。
「まず超獣を倒すことだ」。
おいおい、人命救助は後回しかよ。
たまたまエースがフブギララを倒したら、元に戻ったから良かったものの。
まああの状態では普通手遅れなんですが。
ファルコンごと超獣にぶつかるよう指示する隊長。
もう防衛隊員であることを放棄してるかのような作戦ですが、いつもただ墜落させられるだけなので正しい選択では。
それでも倒せなかったらどうするつもりだったのでしょう。
たまたまエースが来たから良かったものの。

今回北斗はスペースごと突っ込み爆発変身してますが、完全に新マン化してますね。
今回BGMが何故かエース主題歌別テイク。
たまに使われますが、よくわかりませんね。
エースは一旦凍らされますが、自らのエネルギーで復活。
バラバラにされた挙句ブレスレットの力で何とか復活した新マンとは出来が違うよう。
あとエースがモタモタ戦ってて自分のカラータイマーが赤に変わってるのを見て驚くシーンが笑えました。

村人にTACが超獣を連れて来たと攻められるシーン。
新マンのグロテス星人の話を思い出しました。
石堂氏は馬鹿な庶民を描くのが本当にお好き。
馬鹿なエリートを描くのも好きだけど(富士に立つ怪獣)。
「何と言われても踏みとどまって守るべきだった」と隊長。
でも冷凍ガスじゃどうしようもないです。
一緒に氷漬けにされるのが関の山でしょう。

今回も吉村隊員は超獣の鑑定に活躍してましたが、最近は山中よりも吉村の活躍が目立ちますね。
これも梶が降板したおかげか。
今野のロケット工学のオーソリティーの設定は最後まで生かされませんでした。
せいぜい力持ちの設定くらいか。
美川隊員は相変わらず美しい。
北斗の連絡を受ける時の声がとても綺麗でした。
あと、ホテルのシーンの楚々とした感じもかわいらしかったですね。
BY 美川ファン。

今回の脚本はかなりいい加減。
そろそろ石堂氏も粗製濫造に走るのか。
これから最後まで怒涛の石堂脚本目白押し。
完全にエース終盤のメインライターとなってます。


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