データ 脚本は石森史郎。 監督は筧正典。 ストーリー とある自動車技術研究所。 天才自動車設計士加島はマッハの壁を越えるべく、車のスピード実験をしていた。 偶々近くに用事があった北斗は研究所の加島を訪ねる。 2人は中学高校と親友であり、孤児だった加島にとって北斗は唯一と言っていい友達であった。 そこに赤いコートの女性が近付いてくる。 それを見た加島はドライバーの健康調査があると言ってその場を去った。 その頃K地区には超獣が出現。 走って来る新幹線や飛んで来る旅客機を破壊し、TACの攻撃も交わして地中に潜ってしまう。 「多くの犠牲者と我々の名誉のため超獣を倒さねばならない」と隊長。 レーダーで地中に潜む超獣を捉え、超獣が関東方面に移動していることを突き止める。 その方向には加島の勤める技術研究所があった。 加島は超音速の車の設計図を常に持ち歩いているという。 自分以外何も信用できないのだ。 加島は自分のマンションの部屋に戻るが、そこにはさっきの赤いコートの女性が。 その女性真弓は加島の恋人で、自動車の研究に日々没頭する加島から邪険に扱われていた。 「他にプロポーズする人がいるならそいつと結婚した方がいい」と加島。 「自分は車の研究で地位も名誉も金も手に入れる」と言う。 加島のマンションの前に来た北斗は元気なくマンションから出てくる真弓に会う。 話を聞いた北斗は「あなたの幸せのためには他の人と結婚した方がいい」と言う。 しかし「彼は自信家に見えるが後姿が寂しそう。側にいてあげなければいけないと思うの」と真弓。 「加島は既に高性能の車を作るという欲望と結婚している。あなたはもっと自分の幸せを考えなければ」と北斗。 しかし真弓は「私は加島さん以外とは結婚しません」と言う。 真弓の深い愛を知った北斗は加島にもう少し彼女のことを考えてやれと言う。 しかし加島は「俺に女の愛情は必要ない。金と名誉を手に入れて相応しい女と結婚する」と言う。 加島は孤児で貧しかった自分を馬鹿にした世間を見返そうとしていたのだ。 本部ではデータ分析の結果、マッハレスが超スピードの物体の出す爆音に反応することが判明する。 レースカーも騒音を出すことに気づく北斗。 北斗の予想通り、加島の研究所に超獣が出現する。 レースカーを破壊し、研究所を破壊するマッハレス。 加島も所内から外に非難するが、肌身離さず持ち歩いていたカバンを所内に忘れたことに気づく。 あのカバンは俺の財産だと真弓の制止を振り切り建物に戻る加島。 それを追う真弓。 それを見た北斗はアローを着陸させて加島を助けるため建物に向かう。 カバンを持ち出す途中迫り来る超獣の衝撃でカバンを投げ出し階段を転げ落ちる加島。 そこへ駆けつけた真弓は加島のカバンを取りに行き、加島を助け建物の外へ。 そこへ北斗も駆けつけるが3人は瓦礫の下敷きになってしまう。 その時光に包まれてエース登場。 エースは2人を助け出し、マッハレスと対峙する。 騒音を気にするマッハレスの気を紛らわすためマッハレスの周囲を飛び回るTACスペース。 エースはTACの助力を得てスター光線、メタリウム光線で敵を撃破。 命を救われた加島は真弓に「やっとわかった。僕にとって1番大切なのは君だって事が」と言い、設計図を川に流す。 それをそっと見守る北斗。 エースのヒューマンな行為のおかげで我々は再び新幹線での安全な旅が出来るのであった。 解説(建前) まずマッハレスは何者かだが、ヤプールの破片により誕生した超獣とも普通の地球怪獣とも考えられる。 超獣と名がついてることからヤプールが関係してると考えるのが普通だが、出現の仕方が地底から現れるなど原始的である。 唯一光線を出す点が超獣らしいといえるが、この際どちらでも構わないのではないか。 個人的には普通の怪獣だと思っている。 何故北斗は初めて見た超獣をマッハレスと言ったのか? 直前に見てきた音速実験の影響か? 超獣の名前はいい加減に決まるので、誰かが適当に付けた名前が採用されることが多い。 あまり深く考えない方が良いであろう。 新幹線や旅客機が超獣を無視して現場に来たのは何故だろう。 当時は迅速な連絡システムが機能してなかったのか。 この後相当問題になったのは想像に難くない。 感想(本音) 恋愛物ということでやや大人向けの内容であるが、やはり少し甘い。 「帰ってきた」のテロチルス編などに比べるとその違いは一目瞭然だろう。 またバルダック星人編にしても研究はご破算になったのだから、最後に命だけ助かったのはそれなりに厳しかったと思う。 今回は設計図を廃棄する必要性は何もない。 車の研究を捨てて真弓と結婚するということだろうか。 そうだとすれば凄い覚悟だが、そこまでするのはちょっと異常。 その辺もう少し説明が欲しかった。 今回もTACは超獣の名前を安易に決めている。 脚本の都合だろうが、メイン監督の筧さんがこんなことをやるのはどうもいただけない。 子供にわかりやすいようにという配慮かもしれないが、例えば「帰ってきた」21話では作戦会議中に「仮にビーコンとする」と言うセリフがあり最低限のリアリティだけは保って欲しいものである。 以下細かい点を。 マッハを超える自動車てのはやはり凄い。 しかしそんな車何に使うのだろう。 やはりF1とかのレースだろうか。 ところで加島は自分の研究を海外の企業に売りつけるという。 加島は日本のどこかの企業に就職してるはずであり、後で権利関係でかなり揉めるのではないか。 青色ダイオードのように。 ただこういう車の設計に特許とかあるのだろうか? もちろん秘密の新開発が車に利用されている可能性は高いが。 加島は北斗の噂は耳にしていると言う。 この会話から2人は久々に会うみたいだが、北斗は何故加島がこの研究所にいることを知ってたのであろうか。 年賀状くらいは出していたのか。 加島は優秀なのでおそらくいい大学を出ており、単なるパンを運ぶ運転手だった北斗とかなり出来が違うようだが本当に同じ高校を出ているのか。 しかし広島でパンを運んでいた北斗が地球防衛軍のエリート、TACに入隊したというのは驚きだろうな。 今回加島は「孤児だった俺と仲良くしてくれた」と北斗に言っている。 しかし北斗自身親や兄弟はどうなっているんだろう? もしかすると北斗が大学に行けなかったのは北斗が高校時代に親が死んだのが原因ではないか。 とすると、北斗は高校時代若しくは大学に入ってから家庭の事情でパンの運転手になったとも考えられる。 実は北斗はそこそこ勉強が出来る生徒だったが、高校でぐれて暴走族になりかけた時期があった。 しかし親の死をきっかけに更生したのではないか。 北斗の歩んできた人生というのも気になるものである。 エースを助けるためスペースでマッハレスの周りを飛び回る隊長。 どう考えても邪魔だと思う。 「凄いなあ。ウルトラマンエースだ」と言う研究所の人たち。 東京に住んでいないとエースを実際に見ることは少ないのであろう。 しかし前回に引き続いて筧監督のこの演出は何を意図するのか。 今回の対決シーンではTACのテーマが使われていた。 監督も色々試してるのだろうか。 今回も変身は新マン風。 しかも光のシーンも同じだった。 しかしあれは流石にバレバレでは。 加島は友情から北斗の秘密を守ってくれたのかもしれない。 今回最初のナレーションで「スピードの追求は人類に役に立つのか」と言っておきながら最後は「これでまた安全に新幹線の旅が出来る」と言い何とも一貫性がないように感じられる。 スピードの追求はいいことなのか悪いことなのか。 本当はスピードの追求自体が悪いんじゃなくてそれに心を売ってること自体が悪いのだから、答えが出ないのは当然である。 もちろん騒音は問題あるのでそれを指摘すること自体は問題ないであろう。 ただそこまで踏み込むのは子供番組ではどうかという気がする。 受忍限度がどうとか難しい問題だから。 結局最後のナレーションはスピードの否定との間に一定のバランスをとったのであろう。 新幹線を否定するのは流石にまずいから。 しかしエースのヒューマンな行為というのは意味不明。 エースはいつも通り変身して戦ってるだけなので。 やっぱりテーマ主義、ドラマ主義も行き過ぎると今回のようにバランスが悪くなる。 もう少し超獣を通して寓話的に問題提起するだけにとどめたらどうか。 もしくはお馴染みの出演者を使って長いタームでドラマを描いて行くべきだろう。 30分番組では消化不良になるのも致し方ない。 |