天女の幻を見た!


データ

脚本は石堂淑朗。
監督は山際永三。

ストーリー

竜隊長は天女の夢を見て目を覚ます。
するとドアを叩く音が。
ドアの外には夢の中の天女そっくりの少女が立っており、自分をお手伝いとして雇ってくれるように懇願する。
しかし竜はお手伝いの必要がないとそれを断り、申し出を断られた少女はマンションを去って行った。
その頃TAC基地ではおとめ座の大爆発を観測していた。
一方、少女は金持ちの息子シンイチと知り合いお手伝いとして雇われる。
パトロールをしていた北斗、南はある住宅地で温度の低さを感じ、住民に話を聞く。
住民の話によるとテレビやラジオも受信が悪いと言う。
低温地域の中心にあるシンイチ邸を尋ねた北斗、南は、少女から話を聞き隊長を快く思わないシンイチに追い返される。
2人は邸の中から少女がこちらを見てるのに気付く。
北斗、南は基地に帰りそのことを隊長に報告。
基地で観測された宇宙線とシンイチ邸の少女の関連が気になった隊長は自らシンイチ邸を訪れる。
隊長はシンイチ邸の屋上に少女を発見。
少女は目からレーザーを放ち、隊長は辛くもそれを避ける。
シンイチに会った隊長はそのことを話すが隊長を嫌うシンイチは取り合わず隊長は追い返される。
TAC基地ではますます大量の宇宙線がシンイチ邸に降り注いでいくのが観測されていた。
調査のためシンイチ邸付近にいたTAC隊員は基地に異常なしと報告。
しかし梶の観測によるとその時既に日本上空の宇宙線が全部なくなっていた。
その頃、シンイチ邸の寝室に入った少女はヤプールに手下になるよう脅されていた。
少女はおとめ座の爆発により故郷を失ったおとめ座の精で、ヤプールはそんな彼女を助け出したのであった。
寝室に入ったシンイチは少女から自分から離れるよう懇願される。
しかし少女に夢中のシンイチはなお少女に会おうとし、ドアを叩く。
すると中から少女の叫び声が。
少女は宇宙線の集積のため顔がただれ、醜い姿になっていた。
とうとう少女は超獣に変身。
竜と北斗、南はアローとスペースで出撃する。
しかし超獣は実体が宇宙線のため攻撃が通用しない。
竜は一か八かで超獣の体内に突入するが、逆に捕まってしまう。
超獣の衣に捕まった北斗、南はスペースから脱出。
エースに変身して超獣と戦う。
アローの隊長は救出するも実体のない超獣にエースは苦戦。
しかし超獣に封じ込められた少女の声でエースはヤプールの送るエネルギーを遮断。
少女は超獣の姿を解かれ、本来の天女の姿に戻った。
シンイチは大きくなった少女を見て、「なんでそんなに大きくなってしまったんだい」と嘆く。
「夏の夜の夢」とシンイチを慰める竜。
天女となった少女はエースに連れられて白鳥座を新たな故郷として宇宙へ帰って行った。

解説(建前)

少女が隊長宅を訪れた理由ははっきりしない。
結局シンイチ邸にお世話になったところを見ると、格別ヤプールの指示ではないように思われる。
やはり助けを求めて隊長宅に行ったと考えるのが妥当か。
隊長のマンションを知っていたのは何らかの超能力であろう。
昔から知っていたというのはそういうことなのではないか。
ヤプールが隊長宅を訪れた云々言ってたのは単に少女を見張ってたと解釈するのが妥当であろう。
命令したという口調ではなかったし。

おとめ座の爆発の理由は特に語られてないので自然に爆発したと解釈するのが妥当ではないか。
ヤプール陰謀説も捨てがたいが、そこまで行くと深読みすぎる気がする。
まあゴルゴダ星に基地を作るような奴らだから、宇宙を飛び回っているのだろう。
たまたまおとめ座の爆発に出くわしたヤプールが天女を見て使えると思ったのでは。
あるいは超獣用の宇宙生物を探しに出張してた連中が発見したのかもしれない。

アプラサールは宇宙線で実体がないはずなのにエースと取っ組み合い出来たのは何故か。
これは難しい。
アプラサ自身巨大化したり本当の姿がわからないだけにより複雑だ。
結局アプラサ自身が体のサイズを変え、大きい時は掴めるが小さい時は突き抜ける。
そんなとこだろうか(全然説得力なし)。

感想(本音)

理屈もへったくれもない石堂脚本だけに細かい突っ込みは厳禁。
いきなり竜隊長の夢で始まる展開は異色。
エース前半ではかなり変化球的エピソードだ。

夕子の竜隊長への突っ込み。
「お手伝いさんじゃなくて奥さんじゃないの」
は夕子のキャラとしては珍しい。
今回はこの場面に限らず、何処となくコミカルな演技が多かったように思う。
これは山際監督の好みなのか。
そう言えば、ガマスの時もそういう場面があった。
山際さんも夕子のキャラについて色々考えて撮影してたのであろう。

今回は珍しい隊員たちの私服姿が見れた。
美川隊員の服が暗くてよく見えなかったのは残念だが、山中のチンピラ姿には笑った。
アプラサ演じる少女は最初野暮ったく見えたが、最後の変身を解かれたシーンではとても洗練され美しく見えた。
撮り方によるのだろうが流石である。
しかしアプラサが脅されるシーンはかなりエロティック。
ちょっと親と一緒には見れんな。

シンイチはかなり間抜け。
石堂さん流の救い難い馬鹿キャラなのだろう。
何処となく関根勤風の顔が濃かった。
しかしシンイチって。
市川さんへのあてつけか?
因みにあの屋敷の爆発で彼が死んだと思ったのは私だけではあるまい。

ヤプールも隊長のマンションを知ってるんだったら、まどろっこしいことやめて直接攻撃すりゃいいのに。
プライドが許さないのかな。
北斗、夕子の脱出変身は何も言うまい。
まだマシな部類だ。
北斗、夕子がパトロール中に住民に話を聞くと「流石TAC、情報が速い」みたいに言われてたけど、TACはテレビの受信が悪いからって調査には来ません。

石堂脚本といえば巫女のイメージ。
今回は天女でしたが、新マンのバキューモンの回といい、エースのユニバーラゲスの回といい、怪しい少女がよく登場しますね。
月星人の夕子もこの系列に入ってしまいます。
しかしこの回をヒントに「さよなら夕子」が作られた可能性は高いでしょうね。
そういう意味ではちょっと複雑な心境です。

石堂脚本本領発揮の今回は、エース後半からタロウへの作風の変化を知る上でも重要なエピソードでしょう。
まあこの時点ではこういうエピソードも息抜き的にはいいと思いますよ。
今後の作風の変化の是非はともかく、軽く楽しめる感じで悪くない話でした。


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