データ 脚本は本作のチーフライターである市川森一。 監督は筧正典、満田かずほ。 ストーリー 広島県福山市に全身からミサイルを発射する怪物が出現。 迎え撃つ地球防衛軍をあっさり全滅させた。 その怪物の名はベロクロン。 地球侵略を狙う異次元人ヤプールの製造した生物兵器すなわち超獣であった。 ホーム看護婦である南夕子は車椅子の少女を避難させる途中、車椅子を引っ掛けてしまい身動きが取れなくなる。 そこに炎上するホームを見て助けに来ていたパン屋の運転手、北斗星司が駆け寄り、車椅子を動かして夕子を助けた。 顔を見合わせる二人。 はっとする北斗。 北斗は逃げ遅れた南や子供たちを助けるため、近くに停めてあったタンクローリーでベロクロンに体当たりする。 炎上するタンクローリー、巻き添えを食って吹き飛ばされる夕子。 そのとき光の国からウルトラ戦士達が駆けつけてきた。 ウルトラ5番目の弟、ウルトラマンAは北斗の勇気と南のやさしさに心を打たれ、ウルトラの大いなる力を秘めるリングを与えて去る。 奇跡的に命を取り留めた2人は全滅した地球防衛軍に代わる新組織TACに志願し入隊試験をパス。 そこへ再びベロクロンが現れた。 ピンチに陥る東京。 大いなる力が理解できない北斗はリングに向かって叫び続ける。 その時北斗と南のリングが光った。 何かに引き寄せられるように走り寄る2人。 2人のリングが合わさった時、閃光とともに光の戦士ウルトラマンAが地上に降り立った。 苦戦はするもメタリウム光線の圧倒的破壊力でベロクロンを粉砕するA。 こうして新しいヒーローウルトラマンAとともに北斗と南の戦いは始まることになる。 解説(建前) 本編はウルトラマンA誕生の経緯と北斗、南の出会いを描いているが、かなり省略されているらしく謎な部分は多い。 以下私なりに解釈することにする。 まず、北斗と南は死んだのか否か。 この点、番組では明確に語られてないが、私見としては北斗はともかく南は生きてるものと考える。 そう考えないと南が月に帰る時に不都合であるし、南は北斗に比べて爆発からは離れた地点におり(北斗が飛ばされてきたと考えるのが素直)、死に至るほどの状況ではなかったと考えられるからである。 一方北斗は難しい。 どう考えてもあれだけガソリンを積んだ(中身がどれくらいかわからないが、空かも)トラックで衝突すれば即死は免れない。 しかし、そのわりに外傷が少なくあるいは既にAに守られていたのかもしれない。 まあ、北斗の生死はストーリー上特に問題はないのでこの際無視することにする(また最終回に触れる)。 2人があっさりテストを通ったのは、Aの与えた能力によるのであろう。 これはMATに入った郷を思い起こせばわかる。 また、TACは地球防衛軍が全滅して猫の手も借りたい状況であった。 その中で経歴こそ怪しいが、能力のある2人が採用されたのは至極当然である。 また、TACという仕事は危険極まりなく割があわないので志願者があまりいなかったとも考えられる(あの面子が少数精鋭とはとても思えない。これは他の2期のやっつけ隊にも言える)。 後2人がTAC入隊を志す描写がないが、おそらく夕子が持ちかけたのではないか。 元からヒーローに憧れてた節がある北斗と、機会あらばルナチクスを倒そうと窺っていた夕子。 ウルトラの力が与えられたことは夕子にとって、願ってもない好機だったのかもしれない。 TACは全滅した地球防衛軍に代わる新組織であるから、隊員たちは全員新人のはずなのに、北斗と夕子だけ新人扱いである。 これは他の隊員は地球防衛軍で何かの仕事をしていたからではないか。 とすると、全滅は誇大広告の可能性あり。 竜隊長はどう見てもベテランだし、地球防衛軍があんなに少人数なはずはないから福山で全滅したのは地球防衛軍の精鋭部隊(もしくは対怪獣部隊)と考えるのが素直であろう。 TACの戦闘機は初回から3機ほど撃墜されてるが、特に隊員が死ぬわけでもなく、飛行機もなくなるわけでもなく(新しいのが次から次へと出来る)全滅した防衛軍と対照的である。 これは、おそらくTACの戦闘機は人命を重視して脱出機能に1番金が掛かっていたのではないか。 戦闘機の代わりはあっても隊員の代わりはいない。 賢明な判断である。 異次元人については全く謎。 ナレーションによると空を制した宇宙の悪魔らしいが(正確には宇宙を制して空に君臨する異次元の悪魔)、理解は不能である。 超獣はその戦闘力から明らかに普通の怪獣とは一線を画しているのがわかるが詳細は不明。 姿を突然消したり、現れたり。 原理は不明だが、異次元人の恐るべき能力には身震いさせられる。 感想(本音) エースがやたら空を飛ぶアクロバットを披露するのが違和感ありあり。 挙句調子に乗りすぎてベロクロンの反撃を許すのは見ていて不甲斐ない。 超獣の強さを演出するためであろうが、もう少しすっきりとはいかないか。 まあ、エースの本体と想像される北斗のお調子者振りがエースに伝染したのかもしれないが。 その辺りは追々探求することにする。 私は特に夕子ヲタではないのだが、今回の白衣の夕子は流石にグッと来た。 北斗が思わず見とれるのもわかる。 ただ、昔は夕子の妙に発声のいい声があまり好きではなかった。 これは夕子を演じる星光子がミュージカルなんかもやってたからであろう。 あと今回の夕子はやけに厚化粧である。 北斗と南の関係であるが、北斗が南を見てはっとしたことから、北斗は初めて会った時点で南に何か感じていたのは間違いない。 素直に夕子の美しさに見とれて思わずはっとしたと考えるのが妥当ではないか。 作り手もそこまで考えて演出していたと思う。 超獣ベロクロンの登場は圧倒的。 火薬量の多さも久々に見ると物凄いものがある。 口からのミサイルも生物兵器らしくて良い。 2期は第1話から怪獣(超獣)出現のパターンが多いが、ベロクロンのかっこよさはシリーズ随一。 画面が歪んで登場するなど、超獣の神出鬼没振りも新鮮だ。 最後のやられ方も味があっていい。 隊員は山中が板尾に似てるのに驚いたが、あの2丁拳銃は激燃え。 後、今野がロケット工学のオーソリティー(権威)と言うのが訳わからなくていい。 梶の発明の超獣も倒せるというTACレーザーは基地内で実験できるしょぼいもの。 そんなに威力があるなら、簡単に基地内でテスト出来んだろうが。 地球防衛軍の隊長はマスクをはずしたダースベイダーに似ている。 あと、1番気になったのがエースの声。 ショッカー首領てのが違和感ありあり。 何となくドスの効いた声で偉そうなことを言うエースに、横でハイルヒットラーばりの「ウルトラマンA」と付き従う旧作のヒーロー達。 完全に引き立て役と化したその姿に旧作のファンが怒るのも尤もだと思う。 後、最後の基地内の場面で北斗の指にリングがなかったことからリングは普段手袋につけていることが判明。 まあ、あの目立つリングを基地内で2人が付けてたら要らぬ誤解は必至だろうから。 とは言え、出身が同じ2人は(誕生日も)TAC内ではおそらく公認の カップルなのであろう。 これは後にも出てくる。 その他では何回も乗り物とともに大炎上する北斗の生命力に嘆息が漏れるが、これはお約束。 あえて、触れないことにしよう。 とにかく、第1話だけあって見所満載である。 しかし、こんな調子で続けてたら身が持たないので、2話以降はもう少し手短に行きたいと思う。 |